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ワタミ、世界標準への転換で業務改革--国内外25社のERP統合で脱属人化

藤本和彦 (編集部)

2020-09-30 07:00

 外食事業と宅食事業を中心にビジネスを展開するワタミは、属人的で非効率な既存システムの刷新を進めている。経営を変えるITイノベーションとして、業務改革プロジェクト「COSMOS(global COrporate Strategy MOnitoring System)」を立ち上げ、ビジネスのベストプラクティスを導入することによる業務効率化、経営戦略をバックアップできるシステムの構築を目指している。

ワタミ IT戦略本部 本部長の若林繁氏
ワタミ IT戦略本部 本部長の若林繁氏

 ワタミ IT戦略本部 本部長の若林繁氏は、これを「ワタミオリジナルから、グローバルスタンダードへの転換」と語る。非効率な業務プロセスや属人化を含む独自の考え方を排除することに加え、国内外25社で運用する多様なシステムを統合基幹業務システム(ERP)で統合し、ビジネスインテリジェンス(BI)ツールも一本化する。併せて、業務プロセスとコード&管理体系の標準化も進める。これによって、情報の透明性と追跡性を高め、データ駆動型の経営を実践する狙いだ。

 「買収などで手に入れたシステムがパッチワーク化していた。オリジナルはなるべく捨て、グローバルの標準を取り入れることにした」と若林氏は当時を振り返る。

 システム基盤には、インフォアの食品・飲料業界に特化したクラウド型ERPパッケージ「Infor CloudSuite Food & Beverage」とクラウド型BIツール「Birst」を導入した。クラウドやSaaSを利用することで総所有コスト(TCO)を削減し、システムの経済性、管理性、柔軟性、拡張性、将来性を向上させる。

 統合ERP基盤は、生産管理と財務会計に機能が分かれており、生産管理機能は2020年2月に本稼働を開始した。財務会計機能は2021年3月に本稼働の予定となっている。分析基盤はサプライチェーン管理(SCM)を対象にしたフェーズ1が2020年1月に本稼働を始めている。今後、財務管理などのデータも分析対象にしていく。

 データ分析基盤については、これまで事業ごとにシステムを構築してきたため、データ管理やコード定義、勘定科目などが異なり、全社規模でのデータ活用体制が整っていなかった。例えば、事業を串刺しにした全社の集計が属人化しており、多くの工数と負荷が発生していたという。

インフォアジャパン 副社長執行役員 営業統括の三浦信哉氏
インフォアジャパン 副社長執行役員 営業統括の三浦信哉氏

 随所で人手が介在することで集計ミスが多発し、その原因究明に時間がかかったり、複数の集計/分析エンジンがあるために動的な処理ができなかったりといった課題があった。こうした属人化を排除し、少ない操作でレポートを出力できるようにする。また、データ分析人材を育成し、自立的に集計/分析できるようにする。

 例えば、顧客や消費者、購買の情報を可視化し、分析できるようになり、データを活用して重要顧客を開拓したり、新規顧客の販促を促進したり、顧客生涯価値(LTV)を改善たりしている。加えて、予算に対する拠点と商品別の生産量や、理論上と実際の商品のコストを容易に比較できるようになった。

 「センターや宅食商品ごとの生産数を予算と比較したり、センターごとや製品ごとの生産性を簡単に比較したりできるようになった。良いセンター、良い製品を分析して横展開するための指標とし、製造原価を費目別や理論値/実績値で比べることも可能だ。原価差を比較分析することで、商品設計の精度や品質向上のPDCAを回すこともできる」(若林氏)

 SCM領域での変化、効果については、リアルタイムな情報管理によって、重要業績評価指標(KPI)の可視化、発注予測の精度向上、原料/製品在庫管理のデジタル化、製造&品質保証視点でトレーサビリティーのデジタル化、製造/管理現場業務の標準化、宅食事業におけるレシピ変更の作業効率化、仕入確定業務の省人化が挙げられる。

 例えば、食品配送拠点の原材料・商品の在庫管理をデジタル化したことで、仕出し拠点の担当者が毎週発注する手間がなくなり、これまでのように手書きの台帳でトレーサビリティーを確保する必要性もなくなった。各拠点で大量に印刷していた紙もほぼゼロになったという。

 COSMOSプロジェクトにおける生産管理とSCMの変革により、同社は2019年に3360万円のコスト削減を達成し、2020年には合計3億1270万円のコスト削減を見込んでいる。

 コロナ禍においては「生産工場の減産などを即座に分析し、適切な意思決定ができた」(若林氏)と話す。「統合ERP基盤と分析ツールで店舗の試行錯誤を即座に計測、判断できるようになった。適切な経営戦略を取っていくことで、需給バランスとフードロスを減らすことができる」

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