VMware主催のオンラインカンファレンス「VMworld 2020」が初日を迎え、「予測不能な世界のためのデジタル基盤」を作るための同社のアイデアに焦点を当てた、数多くの発表が行われた。
その1番目が「Project Monterey」だ。VMwareは、このプロジェクトはデータセンター、クラウド、エッジのために、ハイブリッドクラウドアーキテクチャーを再定義するものだと説明している。
VMwareの先端技術グループ担当バイスプレジデントChris Wolf氏は、米ZDNetの取材に対して、Project Montereyは新世代のアプリケーションの要求に対応しようとする顧客を支援するものだと語った。
Wolf氏によれば、従来のITアーキテクチャーは、既存のアプリケーションが近代化されるのに従って、新たな要求を満たすために拡張され続けている。そして、5G(第5世代移動体通信システム)による変革やクラウドネイティブアプリ、データ中心のアプリ、機械学習、マルチクラウド、環境全体に分散するハイブリッドアプリなどの次世代のアプリケーションの登場が、IT部門に新たな課題をもたらしていると同氏は言う。
VMwareは、Project Montereyでは、GPUやFPGA、「SmartNIC」などを導入するプロセスで新たなサイロが生まれてしまうのを避けるために、最初の段階からこの問題に取り組んでいると述べている。
Project Montereyが扱う問題は、SmartNICのサポートから、プラットフォームのアーキテクチャー変更やセキュリティまで広い範囲に及んでいる。
「現状について見ると、クラウドネイティブ、通信事業、5Gによる変革などに要素によって、ネットワークのトラフィックと規模が急激に大きくなっている。では、次世代インフラはこの問題にどう対応しようとしているのか。一番有望なのは、SmartNICの形でネットワークのI/O(入出力)や仮想化の負荷をオフロード(解放)することだ」とWolf氏は言う。
VMwareは、「VMware Cloud Foundation」(中でも「vSphere」「vSAN」「NSX」)を進化させて、SmartNICをサポートしようとしている。SmartNICは、通常であればサーバーのCPUが処理するタスクをオフロードすることができる、新しいアーキテクチャーコンポーネントだ。
同社はプレスリリースで「VMware Cloud FoundationでSmartNICをサポートすることで、ネットワークとストレージI/Oの機能をSmartNICのCPUにオフロードし、サーバーのCPUを仮想化の処理に集中させることができる」といい、「VMwareは、ESXiをSmartNIC上で実行できるようにすることで、この進化の第1歩を踏み出した」と述べている。
またVMwareは、Project Montereyの一環として、VMware Cloud Foundationを再設計してサーバーの分離を可能にする。これには、ベアメタルサーバーに対するサポートの拡張が含まれる。
同社は、ESXiをSmartNIC上で実行することで、サーバーが仮想化されているかベアメタルかに関わらず、コンピュートインフラを1つの管理フレームワークで管理できるようになると述べている。
VMwareは、Project Montereyを実現するためのパートナーとしてIntel、Nvidia、Pensando Systemsなどの名前を挙げている。また、Dell Technologies、Hewlett Packard Enterprise(HPE)、Lenovoなどのシステムベンダーとも連携を取っているという。
Project Montereyは現在、テクノロジープレビューの段階にある。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。