新型コロナウイルス感染症の拡大により、企業が用意する「デジタルワークプレイス」はどう変化していくのか。日本マイクロソフトは9月17日、テクノロジーを活用した業務のデジタル化、自動化を推進する動きがさらに強まる中で、企業が対応策を打ち出すためのオンラインセミナー「ニューノーマル時代のデジタルワークプレイス~リモートワーク下での業務のデジタル化」を開催した。
同社がデジタルワークプレイスをどのように考えているのか、また、その有力な具体策として打ち出すローコード開発プラットフォーム「Microsoft Power Platform」について、概要と2社の導入企業がそれぞれの狙いについて語った。
マイクロソフトが考えるデジタルワークプレイスへの準備
業務のデジタル化を進めるに当たり、マイクロソフトはどのように状況を捉え、解決策を打ち出しているのか。日本マイクロソフト ビジネスアプリケーション統括本部 第二ビジネスソリューション営業本部長の柳沼慎也氏が解説した。
新型コロナウイルス感染症の影響でデジタル化が加速すると言われている。柳沼氏によれば、実際に3月では4400万人だったMicrosoft Teamsの1日のアクティブユーザー数が、2カ月後には7500万人を突破したという。デジタル化されていない業務を含める形で、仕事の進め方を再設計する必要が迫っていることを強調している。
実際に企業がデジタルワークプレイスを構築する際にどのようなアプローチを取るべきなのか。マイクロソフトは、「業務アプリケーション」「コミュニケーションツール」「デバイス」「ネットワークセキュリティ」の4つに分けて考えている。
それぞれ業務アプリケーションでの施策ではERP(統合基幹業務システム)やCRM(顧客関係管理)、人事システムをクラウドにシフトすることが考えられる。コミュニケーションツールではメール環境のクラウド化、チャットやテレビ会議システムの導入、デバイスではリモートでの業務を考慮した端末などの支給、ネットワークセキュリティではリモートアクセス環境の整備とゼロトラストネットワークへの対応などが考えられる。
こうした取り組みを通じて、業務同士がつながるようになり、コラボレーションが促進すると考えられるが、それだけでは効果的なデジタルワークプレイスの構築には不足だという。
デジタルトランスフォーメーション(DX)を実現するためには、4つの要因があるという。業務の最適化、製品の変革、社員を支援する環境、顧客とのつながり――である。これらが、有機的に連携することが重要としている。マイクロソフトは、ビジネス全般におけるデジタルシグナルを収集し、集めたデータを連結してインサイトを導き出し、具体的なアクションにつなげるという一連の業務を支援する。

デジタルフィードバックループ
データを中心とした業務のデジタル化
集めたデータは資産となり、業務の自動化などにつなげられる。一部の業務プロセスだけではなく、業務システムでカバーしきれていない既存のオペレーションも対象に入れ、ローコード開発などの手法を用いて業務アプリケーション化できるのが新たな傾向になりつつある。
さらに、オンプレミスにあるデータや既に利用されているクラウドサービス上にあるデータもデータレイクと連携させることで、全てのデータを一元化できる。そこからは、ビジネスデータを可視化して組織を超えてのコラボレーションに生かしたり、社員の適切な評価につなげたりなど、さまざまな施策が打てるようになる。
ポイントは、こうしたプロセスをIT部門だけで進めないことだという。営業、生産管理など各業務を遂行する社員が、自ら使いたいと思えるものでなければ、定着させることは難しいと同社は考えている。
ここで、マイクロソフトが具体的に訴求した製品が、ローコード開発基盤「Microsoft Power Platform」だ。現場の社員が自ら素早くアプリケーションを開発することで、業務の自動化をボトムアップで推進できる。データを一元管理した上で、人工知能(AI) の機能を組み込んだアプリケーションを開発することにより、従来の主要なアプリケーションではカバーできなかった業務についてもアプリケーション化し、業務を自動化できるとしている。

Microsoft Power Platformの位置付け