担当者がボトルネックを確認→すぐに改善
可視化ではレポートダッシュボードの活用を心がけた。単純に特定期間に集計した数値をグラフ化するだけではなく、その内容やさまざまな集計軸によるダッシュボードを作成した。主に経営層からのリクエストが多かったからだ。そこで南氏はレポートの機能を活用し、今月の売り上げや商談件数などの集計データを前月比や前年同月比で表示し、現状が一目でわかるように工夫した。
南氏は「前年同月や前月と比較することで、改善ポイントを素早く見つけることができ、PDCAサイクルを素早く回せる。実はSalesforce導入前は、こうしたレポートは各部のマネージャがExcelで作成していたので、マネージャたちの作業時間の削減にも貢献した」と説明する。
また、アプリストアサービス「AppExchange」を利用した他システムとの連携で、さらなる業務効率を実現した。アクシスでは請求書発行、入金にはクラウド会計ソフトの「freee」を、電子書類や契約の締結状況の確認には契約書管理サービス「クラウドサイン」を利用している。両サービスとSalesforceとの連携構築も社内で行った。
なお副次的な効果として「社内のコミュニケーションが円滑になった」と南氏は語る。Salesforceを中心とした業務プロセスを整備していく過程で、違う部門のメンバーとの話し合いや、部門横断的なやり取りを続けたことで、横のつながりも強固になったとのことだ。
社内にSalesforce活用の文化が広がったことで、社員の行動にも変化が現れた。それは、仕事が滞った場合にはSalesforceで数字を確認し、「どこがボトルネックになっているのか」「それを解消するためには何をすべきか」を担当者が自分で判断するようになったことだ。
南氏は「これまではKPI(評価指標)の数字だけで判断していたものが、Salesforceにあるデータを確認することで、途中のプロセスも把握できるようになった。たとえば、お客様との面談数が足りていないことをダッシュボードで確認し、面談すべきお客様の連絡リストを、Salesforceを使って自ら抽出するといった具合だ」と説明する。
もう1つ、アクシスが注力しているのが、Salesforceの人工知能(AI)、機械学習技術である「Einstein(アインシュタイン)」の活用である。
たとえば「Einstein予測ビルダー」は、数年前に取引があった顧客の中から、再度案件につながりそうな顧客をピックアップし、優先順位をつけて表示してくれるものだ。
南氏は「これまで再コンタクトの顧客リストの作成は担当者の記憶が頼りだったが、Einsteinは人間が見つけられないデータも発掘してくれる。担当者の負担と作業時間削減にも大きく貢献している」と語る。

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なお、こうした取り組みが功を奏し、アクシスはある調査の「20代が選ぶ、自由主義でフラットな企業」で、第3位になったとのことだ。