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IBMが宇宙ゴミとの衝突を回避するためのシステムをオープンソース化

Greg Nichols (Special to ZDNet.com) 翻訳校正: 編集部

2020-10-05 12:14

 宇宙は多くのゴミが散らかった乱雑な場所だ。軌道上を周回する人工物は数万個から数十万個にも上るが、その大半は動力を持たず、衛星軌道上の障害物になっている。宇宙開発の民営化が進み、小型化が進展したことによって、宇宙ゴミは増え続けている。

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 これはかなり大きな問題だ。人工宇宙物体は最大で毎秒8000メートルの速度で移動しているため、ほんの小さな破片であっても、人工衛星や人が乗っている宇宙船と衝突すれば致命的な結果になる可能性がある。

 そのため、各国の宇宙開発機関や民間の宇宙開発会社にとって、打ち上げ前に宇宙物体の軌道をあらかじめ予想し、計画を立てておくことは極めて重要だ。しかし残念ながら、その作業はそれほど簡単なものではなく、宇宙ゴミの数が増えるに従って予測は難しくなっていく。

 IBMとテキサス大学オースティン校のMobira Jah博士が進めている宇宙状況把握(SSA)プロジェクトは、人工宇宙物体の場所を把握し(軌道把握)、将来どこにあるかを予想する(軌道予測)オープンソースプロジェクトだ。

 このプロジェクトについて理解するためには、幾つか背景を説明する必要がある。現在の軌道予測には物理学的な予測モデルが使用されているが、これには人工宇宙物体に関する極めて正確な情報が必要とされる。問題は、宇宙人工物体の位置情報は地上にあるセンサーから得られたもので、完全ではないということだ。また、宇宙天気などの要因が、その状況をさらに複雑にしている。

 SSAの背景にある考え方は、機械学習によって、物理モデルの軌道予測に誤差が生じるのはどのような場合かを学習させ、モデル化するというものだ。物理モデルは軌道を計算する上では十分に優れているが、十分な効果を上げるためには、どのような場合に、どのような変動要因によって誤差が生じるのかを学ぶ必要がある。

 同プロジェクトでは、米宇宙軍(USSTRATCOM)space-track.orgのサイトで公開しているデータを使用している。SSAのチームは、「IBM Cloud Bare Metal Servers」のサーバー(Intel「Xeon」プロセッサー16基、120GB RAM、NVIDIA「Tesla V100」GPU 2基〈16GB RAM〉を搭載)を使用して、物理モデルで低軌道上の全人工宇宙物体の軌道を予測し、その後、物理モデルの誤差を機械学習モデルに学習させた。その結果、同チームは人工宇宙物体の軌道をより正確に予測できるようになったという。

 同チームは、軌道を予測しその結果を見るための処理パイプライン全体をオープンソースとして公開した。現在では、GitHubを介して誰でもSSAプロジェクトにコントリビュートできるようになっている。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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