初イベントはコロナ禍--従来はなかったアイデアが続出
LDSL設立後初となったイベントは、社会人向けの社外ディスカッションサービス「サンカク」を運営するリクルートキャリア(千代田区)と共催するオンラインハッカソンとして実施。新型コロナウイルス感染症の影響を鑑み、「AI技術×ニューノーマルな観光」をテーマにウェブ会議を活用した完全オンラインという形を選択している。
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影広氏は、「フィジカルの方が圧倒的に情報量は多いが、移動時間が不要で、会議の密度を上げられる。コロナ禍で利用者のオンラインツール習熟度も向上し、便利な機能を最大限使いこなせるようになった」とオンライン実施のメリットを説明。コロナ禍後のニューノーマル(新常態)でのいいとこどりが視野にあるようだ。
当日は社外から集まった25人と、日立のデータサイエンティスト数人を5つのチームに分類。東京都を仮想クライアント、テーマを「『密』を避けて目的地を巡れる社会システムの創造」としてディスカッションに臨んだ。
事前に日立が準備、提供したいくつかのデータをもとに、コロナ禍で冷え込んだインバウンド需要を取り戻すべく、各チームさまざまな角度からの議論を展開。いずれも単にアイデアを出し合うだけでなく、日立のデータサイエンティストがAIやデータサイエンスの観点を補いつつ、データをどう集め、どう分析し、どういう結果を得るかまでを先導。人口や観光地データから現状を把握、仮説をたてて仕組みを検討、効果の見通しを立てるといった流れで進行した。
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具体的には、「“密”を避けるためにどうすべきか」、そもそも「“密”とは定量的、定性的にどういった状態か」など、チームごとで多様な意見、議論が展開。最終的には混雑の時間や場所といった流す情報、はたまたその渡し方など、各チームごとに色が異なるさまざまなシステム/サービスの提案があった。
撮影のためマスクを外していただいたLDSL 副ラボ長の徳永氏
各チームを観察していた日立製作所 LDSL 副ラボ長兼業務実行責任者を務める徳永和朗氏は、「事業ドメイン、得意分野が全く異なる人たちが集まり、日立が持っていないようなアイデアが出ている。まさしく協創の場となった」と感想を述べている。
LDSLのトップデータサイエンティストとして実際に輪に加わり議論に参加した織田稔之氏は、「全員のカラーが異なり、すべてのアイデアが必要」とコメントする一方で、「GPS、SNSなどさまざまなデータがあるが、集めるためには時間もお金も手続きも必要になる。あればいいというものではなく、あくまで目的があり、承認するためにデータがある」と総括。日立が大事にしているという目標の大切さを強調した。
同時に会話が成立する人数が限られるため、発表会のあとのオンライン懇親会は各チームごとで実施。本来はチームをまたいだ交流も意図にあるようで、「全てオンラインには限界がある」(影広氏)とも語る。
記念撮影もウェブ会議上で
施設の機能を発揮できるリアルなイベント実施を検討する一方で、10月25日には「AI技術×社会インフラ」をテーマとした第2弾を予定。しばらくはオンラインでの“協創”を模索していくという。2021年度での200人体制を目指すというLDSLは、コロナ禍でも止まらずに歩みを続ける。
当日は一部運営者のみでの活用となった協創の森
リアルな場での“協創”を主眼に設計しており、座学や懇親会が可能だ