データ資産を可視化し、データ活用の活性化につなげるメタデータ管理

小林靖典 (クニエ)

2020-10-13 07:15

 前回は、データのデザインについて述べた。最終回となる今回は、データをどのように具体的に管理していくか、メタデータ管理を中心に解説する。

なぜメタデータ管理が重視されるのか

メタデータとその種類

 メタデータとは、データの付帯情報のことであり、データのためのデータとも説明される。

「ビジネスメタデータ」と「システムメタデータ」の大きく2種類があり、ビジネスメタデータは、「業務用語」や「業務とデータの関連」を表す情報である。業務用語名、業務用語説明、業務機能名、業務とデータの関連付け、データの発生源とそのデータのリネージ(来歴)などのことである。

 システムメタデータは、「テーブル」「カラム」「アクセス権」などデータを格納しているシステムに関する情報であり、テーブルの論理名や物理名、説明、カラムの桁、型、コード値、KeyやIndexのような制約、データアクセス権限などのことである。

なぜメタデータ管理が重要なのか

 メタデータ管理の大きな目的の一つとして、「データ利活用の促進」が上げられる。データを活用したい人が簡単に必要な情報を検索し、活用しやすくすることである。

 データ経営、組織全体でのデータドリブン文化の醸成、データの民主化などが求められる現在では、経営者や業務ユーザーからの多様なデータ要求に応えるために、データに関するさまざまな付帯情報を管理しなければならないが、具体的にはどのような情報が必要なのだろうか。

 データを利活用するためには、まずはデータそのものについての正しい理解が必要で、具体的には以下のような情報が必要になる。

  • データの意味
  • どのようなデータが格納されているのか(サンプリング値)
  • データを生成している業務
  • データで、どのような活用や分析ができるのか(過去の事例やユースケースなど)

 次に、そのデータを利活用すべく信頼性や安全性を確認したくなるだろう。以下のような情報が必要になるはずだ。

  • データの発生源(システム、「Excel」など)
  • データは、どのような経路で加工変換されてきたか(データリネージ)
  • データの管理者や責任者は誰で、どのように承認しているか
  • データ品質は利活用できる状態(プロファイル)か
  • 個人情報や機密情報でなく、取扱規約やコンプライアンス上利活用できるか

デジタルデータの管理と活用に欠かせないメタデータの整備

 このようにデータを利活用するためにメタデータ管理はなくてはならないものであり、同様に、デジタル化を推進するためにも、非常に重要である。

 昨今、スマートデバイスやセンサーデバイスの発展により、簡単に画像や動画、IoTなどのデータを簡単に収集できるようになった。しかし、これらの非構造化データを何も考えずデータプラットフォームに格納していても活用にはつながらない。

 例えば、工場から送られてくる画像データに「XXXX.jpg」といったファイル名だけあっても何のデータなのかわからないため、データが蓄積されるだけになってしまう。しかし、「XXXX.jpg」に対して、タグ「事故画像、工場内、社員」、作成日「yyyy/mm/dd」、場所「XX工場」、・・・などの付帯情報が管理されていれば、さまざまな工場の事故画像を分析して、要因を調査することもできるし、工場内のインシデント管理サービスや品質管理サービスとして提供するなど、新たなデジタルビジネスにつなげることもできるのである。

 以上のように、メタデータ管理は、デジタルデータの管理と活用に欠かせないのである。

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