日立の新サービスにみる「“共感”はこれからの時代の重要なキーワード」

松岡功

2020-10-15 07:00

 本連載では、筆者が「気になるIT(技術、製品、サービス)」を取り上げ、その概要とともに気になるポイントを挙げてみたい。今回は、日立製作所が提供する「共感モニタリングサービス」を取り上げる。

従業員の共感度合いを分析し従業員エンゲージメント向上へ

 日立製作所は先頃、企業や組織の理念やビジョン、施策など、さまざまなメッセージへの共感度合いを分析し、従業員エンゲージメント向上を促す「共感モニタリングサービス」の提供を開始したと発表した。

 従業員エンゲージメントとは、従業員が働いている会社に対して愛着や思い入れを抱くことや、働きがいを感じながら会社に貢献する成果を出すために自律的に取り組んでいる状態を指す。

 新サービスは、マーケティング、ブランド論、消費者心理学などを専門とする一橋大学大学院 阿久津研究室と共同で開発し、マーケティングなどで使われる調査手法を応用した独自の調査手法を用いて、メッセージ性を持った文書や動画、セミナーなどに対する受け手の共感度合いと、その背景にある原因構造を可視化、分析し、改善に向けた施策立案までをトータルでサポートするものである。

 従業員が企業や組織の目指すべき方向や価値に共感し、高いモチベーションと一体感をもって働ける強い組織づくりを支援する。(図1

 また、新サービスはインターナルブランディングへの活用のみならず、企業が社外に発信するコンテンツや商品ブランドイメージへの共感度合いの分析など、マーケティングやブランド戦略に向けたサーベイにおいて活用することで、商品、サービスのブランド力や価値の向上にも寄与するとしている。

 新サービスの内容としては、得られたデータを文章化し、特徴的な単語をコード化して分析する「グラウンデッド・セオリー・アプローチ」と呼ぶ質的な社会調査手法の1つを応用した、阿久津研究室と共同開発の調査手法をもとに、日立でそれらのノウハウをシステム化し提供するものだ。

 その構成としては、メッセージの「どの部分」が「どのように」受け止められているかを容易に把握できるサーベイ環境を提供する「共感度合い可視化サービス」と、サーベイ結果から浸透を阻害する原因をコンサルタントが構造分析し、改善のための施策立案を支援する「改善施策コンサルティングサービス」からなる。

 これらのサービスを活用することで、煩雑な集計作業の負荷を軽減するほか、サーベイで集まったデータの単なる集計ではなく、データを分析し、現れた現象がどのような原因や背景によって生じているかを構造的に理解することが可能となる。

 一般的な選択式アンケートなどによる定量評価と比べ、共感や浸透を阻害している具体的な原因を特定できるため、メッセージ内容の改善など、具体的なアクション検討につなげることが可能だ。

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