2020年9月3日掲載の本連載「日本マイクロソフトのパートナー認定制度に求めたい『ユーザーから見て有効か』の視点」と題した記事に対し、日本マイクロソフトから自社の取り組みについて説明したいと申し入れがあった。今回はその取材内容をお伝えしたい。
パートナー施策で重要なのは「ユーザーから見て使えるか」
まずは、おさらいを。上記の記事では、日本マイクロソフトのクラウドパートナー施策について、これまでとこれからの取り組みを紹介した。その中で、筆者は気になる点としてパートナー認定制度を挙げた。この制度はユーザーから見てパートナーの力量が分かる認定を明示するもののはずである。なぜ、気になったか。「ユーザーの視点」を感じられなかったからだ。
筆者はかねてパートナー認定制度について、ユーザーの視点から個々のパートナーの得意分野や実績、技量を見て支援を依頼するための選択肢となり得る「ものさし」があってしかるべきで、どんなパートナー施策においても「ユーザーから見て使えるか」という視点が不可欠だと訴えてきた。
日本マイクロソフト執行役員常務パートナー事業本部長の檜山太郎氏
その背景には、日本マイクロソフトにとってクラウド分野で最大の競合相手であるアマゾンウェブサービスジャパン(AWSジャパン)が、2年以上前からパートナー認定制度を展開し、ユーザー企業から好評を得ている動きもある。
以上のように上記の記事で指摘したところ、日本マイクロソフトから自社の取り組み姿勢について説明したいと申し入れがあり、今回のオンライン取材が実現した。話をしてくれたのは、上記の記事でもパートナー施策を説明していた執行役員常務パートナー事業本部長の檜山太郎氏(写真1)と、パートナービジネス本部シニアビジネスマネージャーの輪島文氏(写真2)だ。
日本マイクロソフトパートナービジネス本部シニアビジネスマネージャーの輪島文氏
同社が現在、パートナー認定制度として展開しているプログラムは、「Azure Expert Managed Service Provider(MSP)」と「Azure Advanced Specialization」の2つ。檜山氏と輪島氏の説明を基に、それぞれ概要を紹介しておこう。
まず、Azure Expert MSPは同社のクラウド基盤サービス「Microsoft Azure」のパートナー認定の最高位で、第三者機関が世界共通の評価基準で審査し、合格したパートナーのみが認定される。技術や実績だけでなく財務状態なども評価基準となり、さまざまな要件を継続的に満たす必要がある。グローバルでは2018年7月に設置され、日本ではその1年後の2019年7月に設けられた。檜山氏によると、「国内での認定企業は設置当初2社だったが、現在は6社になっている」とのことだ(図1)。
Azure Expert MSPの概要(出典:日本マイクロソフト)