2019年秋に報じた通り、Oracleのデータベース統合プラットフォームである「Oracle Exadata」は、トランザクション処理やアナリティクスの大幅な高性能化をもたらす大々的なアーキテクチャー変更が施された次世代製品だ。2019年秋に発表された「Oracle Exadata X8M」はオンプレミス顧客向けの製品だったが今回、「Oracle Cloud Infrastructure」で利用可能になるとともに、新たな変更が加えられている。クラウドの持つスケーラビリティーを生かし、Exadataによるアナリティクス処理のデータ上限を25ペタバイトにまで引き上げているのだ。
Exadataの顧客の間ではこの新プラットフォームの採用が増えている。9月に発表された2021会計年度第1四半期決算(8月31日締め)によると、「Oracle Exadata Database Machine」の売上高の大半をX8Mが占め、オンプレミス向けExadataの総売上高は前年同期比15%増だったという。これはHewlett Packard Enterprise(HPE)やDell Technologiesの同等製品、あるいはIBMの「IBM Power Systems」を凌いでいる。ちなみにこれら競合製品は、ごくわずかな成長しか遂げていないか、売上高が低下している。Oracleのこのデータベースクラウドサービスは(これまではX8M世代ではなかったものの)、新規顧客の獲得に威力を発揮しており、Exadataクラウド顧客の半数は新規顧客が占めている。
Oracleは、Exadataをソフトウェアとハードウェアが緊密な形で最適化された「Oracle Database」向けの高性能かつ全てが一体化された高スケーラビリティーのデータプラットフォームと位置付けている。このためバックプレーンには、標準化された「InfiniBand」などの高性能コンポーネントを採用していた。そしてExadataの対象市場は、複数のデータベースを統合するニーズを抱えつつ、高負荷トランザクションや高いアナリティクス性能を要求している大企業となってきている。
Exadata X8Mは、今までと同じ市場を対象としているが、そのアーキテクチャーは大幅に変更されている。最も大きな変更は永続的メモリー(PMEM)という新たなストレージ階層の採用だ。これにより、適切なフォームファクター上でしっかりとチューニングすれば、DRAMメモリーに近いトランザクション処理性能を大幅に低いコストで実現できるようになる。
さらにX8Mでは、業界における公式かつデファクトスタンダードな規格への準拠という大きなアーキテクチャーの変更も実施されている。1つ目は、パフォーマンスに直接影響を与える内部ネットワーキング機構に対する変更だ。X8Mでは、広帯域幅を実現するためのバックプレーンとして、100ギガビットイーサネット(100GbE)が搭載されている。
新たな「Exadata X8M Cloud Service」は、Oracle Cloudと「Oracle Exadata Cloud@Customer」や「Oracle Dedicated Region Cloud@Customer」を用いたハイブリッド/プライベートクラウドの双方で利用可能となっている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。