世界1300人勤務でもオフィスはゼロ--GitLabにみるリモートワークのコツ

阿久津良和

2020-10-19 07:15

 「Git」の分散バージョン管理とソースコード管理(Source Code Management:SCM)の機能を併せ持っている、ウェブベースのリポジトリ管理ソフトウェア「GitLab」を提供するGitLabは、2015年にオフィスを米サンフランシスコに設置するも、通勤時間などの理由から3日間程度で使用しなくなり、以降は68の国や地域で1300人以上のメンバーがリモートワークを実施。コロナ禍以前から物理的なオフィスをなくしている。

 そうした背景がある同社は10月16日、リモートワークの最適な実行方法を披露する記者説明会を開催。米本社リモート統括責任者のDarren Murph氏は「コロナ禍が収束した後も、柔軟に仕事場を選択する世界が訪れる」とリモートワークの重要性を強調した。

GitLab リモート統括責任者 Darren Murph氏
GitLab リモート統括責任者 Darren Murph氏

 2011年に設立し、2014年に法人化したGitLabは設立当初からリモートワークを実践している。共同創設者のDmitriy Zaporozhets(ディミトリー・ザポロゼッツ)氏はウクライナ、共同創設者で最高経営責任者(CEO)のSid Sijbrandij(シド・シブランディ)氏はオランダと、異なる国同士の人物が設立した企業のため、リモートワークを前提とした企業文化が醸成されるのは自然の流れとも言える。

 リモートワークを実践する上で重要なのが「すべてを文書化すること。われわれは業務効率を高める知見を『GitLab Handbook』にまとめている。これが唯一の真実だ」(Murph氏)

 また、オンライン会議は議事内容の必須化や時間を厳守し、メンバー雇用時も業務を自己管理できる能力を持った人材の採用に努めてきた。経営層も積極的にリモートワークを推進、Murph氏は「リモートファーストというメンタリティ」を持たなければならないと説明する。

 自社のリモートワークに関する知見をまとめた「The Remote Playbook」を公開しているGitLabだが、精神的負担が拡大しがちなリモートワークを実践し続ける上で「プライベートと仕事を分ける」(Murph氏)ことが重要だという。

 一例として「通勤時間(に相当する時間帯)をカレンダーでブロックし、その時間をワークアウトや家族と過ごす時間に振り分ける」(Murph氏)など、業務時間とプライベートと仕事を明確に切り替えていく自己管理が必要だと強調した。

 また、他の従業員と仕事外のオンラインチャットを通じたコミュニケーションなど、孤立しない取り組みも欠かせないという。その際には、「一貫性が欠かせない。(コラボレーションツールでもある)GitLabという単独のプラットフォームに集約しなければならない。たとえば“ここではZoom、ここではメール”と(異なるツールを併用すると)コミュニケーションが細分化してしまう」(Murph氏)ような場面を避けることも必要だと注意をうながした。

コロナ禍で参照数が増加したという「The Remote Playbook」
コロナ禍で参照数が増加したという「The Remote Playbook」

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