異業種発想を取り入れてアイデアの創造的破壊へ
この新手法では、「ブランド」「製品」「サービス」の3つのイノベーション領域をカバーする。いずれの領域においても、企業の目指す姿と消費者インサイトを踏まえ、異業種の事業、製品、サービスの知見や新たなテクノロジーを駆使した、部門や社内外横断型のデザインシンキングワークショップとユーザーを交えた検証を行う。新手法のプロセスでは、複数回の発散と収束を繰り返すことで徐々に精度を高め、最終的にはアイデア開発だけでなく、ビジネス戦略まで含めたイノベーションの実現を支援する。
また、イノベーションアイデアのベースとなる現状理解や仮説構築に必要なカスタマージャーニーの策定支援においては、モバイルエスノグラフィ調査の手法を取り入れた独自のプラットフォームと専用アプリを活用し、「リアルモーメントインサイト」を抽出することで、カスタマーの思考、行動、感情をリアルタイムで詳細に把握することが可能となり、より消費者インサイトを踏まえたイノベーションを支援できる環境を整備している。
具体的には、商品、サービス購入に関わる顧客と企業のインタラクションのステップとタッチポイントを網羅するだけでなく、旅行やイベントなどの体験、中長期のライフステージに関わるステップを網羅することも可能。既存体験だけでなく、将来起こりうる体験の視覚化にも活用できる。
同社では業界や企業ごとの事情に柔軟に対応しながら、企業の新たなブランド戦略の立案や、今までにないイノベーティブな事業、製品、サービス開発の活性化に寄与することを目指す構えだ。
以上が発表の概要だが、今回この新たな手法に注目したのは、「デザインシンキング」と「異業種発想」がキーワードのアイデア創出にユニークさを感じたからである。
デザインシンキングは創造的な問題解決における一連のプロセスと先述したが、同社によるとその内容は表1のように5つのステップからなる。デザインシンキングは今やアイデア創出に向けた最も注目されるアプローチなので、できればこの5つのステップの中身は頭に入れておきたいところだ。
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同社に改めてこの新手法のユニークな点を聞いてみたところ、やはり「異業種発想を取り入れた上でアイデアの創造的破壊を行っている点」との答えが返ってきた。もう1つ、先行事例があればと聞いてみたところ、「B to C向けに量販店で販売していた飲料品を、オフィス需要向けのサブスクリプションサービスにビジネスモデルの転換を行い、マーケットを拡大したケースがある」とのことだ。
新手法の名称は、アイデアをトランスフォームするフレームワークという難しそうなイメージだが、今後どんなイノベーションアイデアが創出されるか、注目していきたい。