米Splunkは10月21日、年次イベント「Splunk .conf 2020」をオンラインで開催した。開催に合わせて最高経営責任者(CEO)のDoug Merritt氏ら幹部がプレス発表会を設け、同日発表したモニタリングベンチャーPlumbrとRigorの買収、クラウド事業の成長、今後の方向性などについて語った。
Splunk 最高経営責任者(CEO)のDoug Merritt氏
「Salesforceより高成長」--好調なクラウド事業
ログデータの収集・分析などIT運用管理のための技術を提供するSplunk。Merritt氏は、まず同社製品を利用するIT管理者をたたえて、「新型コロナウイルス感染症により、あらゆるものがオンラインに移行している。これまでにない規模のニーズを満たしているのは、“データヒーロー”が安定運用を支えているからだ」と述べた。そして、コロナ禍からの教訓として、ほかのデータと安全に接続し、データをアクションにつなげることができる企業が成功するとした。「Splunkのフォーカスは、データとアクションの間の壁を取り除くことだ」とMerritt氏。
その同社が現在進めているのは、クラウドへの移行、運用に関するデータの収集とインデックスサービスを「Splunk Cloud」として提供すること。「クラウドネイティブな体験を構築すべくポートフォリオ全体を再構築している」とMerritt氏は語り、クラウドでは複雑性の排除とユーザー体験の改善も重視しているという。そのようなクラウドへのフォーカスが実を結んでいるようだ。
8月に発表した2020年第2四半期の決算では、クラウドの年間定額収益が前年同期比89%増の5億6800万ドルで、合計の年間定額収益は前年同期比50%増の19億3000万ドルとなった。「7四半期連続で対前年比50%以上の成長を遂げている」とMerritt氏は胸を張る。クラウドの売り上げは前年同期比79%増の1億2600万ドルと報告。一方で、全体の売り上げは前年同期比5%減の4億9200万ドルだった。
Merritt氏が強調するのは、成長のペースだ。「われわれより先にクラウドサービスを開始したベンダーが現在のわれわれと同じ段階だった時に比べ、高速に成長している」とMerritt氏。「市場は異なるが」と前置きしながら、クラウドを開始してから年間定額収益20億ドル達成までの期間は、Salesforce.comやWorkdayよりも短いと予想する。
好調なクラウド事業の成長をアピール。AARが20億ドルに達するまでの成長率はSalesforce、Workday、ServiceNowよりも高いという
クラウドへの移行の成功を「顧客の成功にフォーカスした結果」とするMerritt氏、その一環として、先にワークロードベースの価格体系も導入した。それまでのデータ量を基準とした課金の場合、「Splunkにいれるデータ量が気になり、自由にさまざまなことに活用できない」という顧客の声に対応するものだ。
Merritt氏によると、ワークロードベースを採用したある顧客は、毎日のデータの取り込みが3倍に、クエリーも2000万から2300万に増加したとのこと。データのソースやデータを扱う人も増えた一方で、GB当たりのコストは下がったという。「ユースケースベースでのSplunk Cloudのコンシュームが可能になる」(Merritt氏)と、全ての顧客に広げていきたいとした。