NECソリューションイノベータは、介護サービスを利用する高齢者や認知症の人向けの仮想現実(VR)を用いたオンライン旅行サービスが、経済産業省「サービス産業強化事業費補助金(認知症共生社会に向けた製品・サービスの効果検証事業)」に採択されたと発表した。今後、エムダブルエス日高、シアン、ハコスコ、トータルブレインケアと協力して、検証に取り組み、社会実装を目指す。

事業の概要
同事業では、介護事業者を通じて、高齢者や認知症の人向けに付加価値を付けた保険外サービスとして、VRオンライン旅行サービスを提供する。介護事業者を通じて、信頼できる介護スタッフによるサービスのもと、旅行計画から旅行後の振り返りまで一連の旅行体験に参加することで、参加者同士や介護スタッフとのコミュニケーションの活性化を図る。介護事業者はツアーガイドの案内に沿って、オンラインで旅先を散策するプログラムを介護施設内で実施し、NECソリューションイノベータなど5社と効果を検証する。
なお各観光地との企画調整/検討や旅行コンテンツへの知見提供はRidiloverが行う。また、実証に当たってはパナケア真中と社会福祉法人善光会が介護事業者として、北海道釧路市、沖縄県南城市が旅行コンテンツ撮影地として協力する。
検証するのは、安全なVRオンライン旅行サービスへの参加や、参加者同士や介護スタッフとのコミュニケーション活性化による参加者のQOL(クオリティーオブライフ)向上など。インフォーマルケアコストの低減、介護事業者のサービス向上も検証する。インフォーマルケアコストとは、家族等が無償で実施するケア(介護)をコスト換算したもの。
各社の役割として、NECソリューションイノベータが全体統括、ハードウェア/システムの提供/運営を行う。エムダブルエス日高は介護施設でVRオンライン旅行を行う際の手順、利用者への案内方法などの定型化を担う。シアンは、ドローンとVRゴーグルを組み合わせたリアルタイムバーチャルツアー「空力車」を用いたコンテンツ作成を担当。ハコスコは、360度VR映像の多人数同時再生ツール「ハコスコナビ」を用いたコンテンツ配信を行う。トータルブレインケアは、認知機能別トレーニングツール「CogEvo」を用いたサービス利用者の参加前調査から参加後の調査/分析(効果の評価)を実施する。