IBMとR3、ブロックチェーン技術のハイブリッドクラウド導入で提携

Charlie Osborne (ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2020-10-23 10:33

 IBMは米国時間10月22日、R3と新たな提携関係を結び、ブロックチェーンサービスをハイブリッドクラウド全体に拡大する計画を明らかにした。

 この協業により、R3の企業向けブロックチェーンプラットフォーム「Corda Enterprise」を、Linux専用サーバー「IBM LinuxONE」に導入する。

 ニューヨークに拠点を置くR3は、ブロックチェーン全体で実行されるスマートコントラクトの専門企業だ。この技術は、複数システムをまたいで情報を記録し、透明性とセキュリティを向上させ、データの改ざんや損失のリスクを軽減できるため、とりわけ企業や金融プロバイダーにとって魅力的である。

 「Corda」はベンダー中立的なブロックチェーンプラットフォームで、オープンソースとして提供されている。一方、Corda Enterpriseは商用版となり、企業は運用コストを削減し、複雑なビジネスプロセスを合理化して、新たなネットワークの機会を収益化できると、R3は述べている。

 新しい提携関係の下、IBMはハイブリッドクラウド対応のLinuxONE内で、Corda Enterpriseを提供する。これには、オンプレミスと「IBM Cloud」の両方が含まれる。

 「IBM Servicesに加え、R3のCorda EnterpriseプラットフォームのインフラサポートをIBM LinuxONEで提供すれば、当社の既存のブロックチェーンサービスを補完し、市場でさらなる選択肢を提供できる」(IBM)

 ベータプログラムを11月2日から開始して、IBM Cloud Hyper Protect Servicesを通じて、Corda Enterpriseを提供する。このプログラムが成功した場合、2021年第1四半期までに一般提供を行う見通しだ。

 またR3の技術導入を検討しているIBMの顧客向けに、Corda専用のコンサルティングや支援センターも用意する。

 IBMのBlockchain Services担当ゼネラルマネージャーのJason Kelley氏によると、この提携では「異種ブロックチェーンネットワーク、デジタル資産、デジタル通貨、業界に特化した事例のために、相互運用性のあるソリューション開発に注力していく」という。

 

 R3の最高経営責任者(CEO)のDavid Rutter氏は「ブロックチェーンは、デジタル変革を推進する技術として急速に頭角を現している。R3とIBMは、IBM LinuxONEを基盤とするブロックチェーン技術に内在するプライバシーとセキュリティを利用できるようにする。その結果、顧客は最も機密性の高いワークロードを透明性と柔軟性を持って実行できると、保証できるようになる」と付け加えた。

 IBMは2018年に、ブロックチェーンベースの金融サービスプラットフォーム「LedgerConnect」を開発、推進するために、CLSと緊密な協業を開始した。このソリューションは、分散型台帳技術(DLT:Distributed Ledger Technology)を基盤とし、Know Your Customer(KYC:顧客確認)プロセス、スクリーニングサービス、取引後のデータ分析サービスなどを提供する予定だ。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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