米Dell Technologiesは現地時間10月21日、年次イベント「Dell Technologies World 2020」をオンラインで開催した。目玉として「Project APEX」を発表、2019年に「Dell Technologies on Demand」として発表したアズ・ア・サービス戦略をさらに強化した。
ハイブリッドクラウドを中核に6つのフォーカスエリア
同イベントは本来なら5月の連休中に開催されるが、2020年は新型コロナウイルス感染症の影響により、この時期でのオンライン開催となった。

Dell Technologies 創業者兼会長 CEOのMichael Dell氏
本拠地のテキサス州オースティンから基調講演のメッセージを発信した創業者兼会長 最高経営責任者(CEO)のMichael Dell氏は、「クラウド、クライアント、ストレージ、サーバー、そしてサービスで統合されたソリューションに投資している」「この6カ月間に全ての製品ラインで新しいリリースを出した」と述べ、競合に対する製品ポートフォリオの広さをアピールした。
技術と製品について語った副会長兼最高執行責任者(COO)のJeff Clarke氏は、同社の技術フォーカスとして、「ハイブリッドクラウド」「エッジ」「5G(第5世代移動体通信)」「AI(人工知能)と機械学習」「データ管理システム」「ITインフラ全体に組み込まれたセキュリティ」――の6つを挙げた。同社の戦略はこれら6つの技術分野を個別に提供するのではなく、ハイブリッドクラウドを中核に統合されたシステムとして提供することだ。
そこで不可欠なのが、傘下のVMwareとの協業になる。Clarke氏の講演にはVMware CEOのPat Gelsinger氏が登場、2019年に発表したオンプレミスでIaaS環境を実現する「VMware Cloud on Dell EMC」、10月の自社イベントで発表した「Project Monterey」などで、Dell Technologiesと密に協業していることをアピールした。

Dell Technologies 副会長兼COOのJeff Clarke氏(左)とVMware CEOのPat Gelsinger氏
Gelsinger氏が「マルチクラウド、ハイブリッドクラウド戦略を完成するファブリック」とするVMware Cloud on Dell EMCは、Citibank、Rolls-Royce、Harley-Davidson、YAMAHAなどの共同顧客が採用するなど受け入れが好調だという。Project Montereyについては、「スマートNICsにより仮想化、ネットワーク、ストレージタスクをCPUからオフロードし、性能を最適化できる。VMware Cloud Foundationを再アーキテクトしている」と説明、ゼロトラストのセキュリティモデルなどを特徴に挙げた。
5Gでは「テレコクラウド(通信事業者向けクラウド)」の推進をDell Technologiesと共同で進める。「データセンターで仮想化をもたらしたのがVMwareだ」(Gelsinger氏)として、連携して通信分野の仮想化を進めていくことを約束した。