日立製作所は、製造現場の製品検査や設備保全を対象に、製品の打音や設備の稼働音などの音響データから異常音を検知するソリューションを11月に発売する。
同ソリューションは、マイク機能を備える無線センサーなどにより収集した音響データを、同社が独自に開発した高精度に音響を解析する人工知能(AI)技術によって解析する。これにより、検査員の経験に基づいて行われていた製品や設備の聴音点検の高度化や効率化が可能となり、品質トラブルや設備故障を未然に防ぐ。
ソリューションの概要図(出典:日立製作所)
このソリューションは、IoTデータモデリングサービスとIoTデータ監視サービス、設備点検自動化サービスと異音検知システムで構成されている。
IoTデータモデリングサービスとIoTデータ監視サービスは、まず製品の聴音検査を対象に、製品の稼動音や加工音、打音などを音の特徴や製造現場の環境に合わせた市販の汎用マイクで収集する。次に、AI技術により、音源を分離し雑音を除去するとともに、対象となる検査音の特徴量を抽出する。音の異常度を算出、可視化しながら周囲の環境音の変化などで発生する「音のブレ」に対応し、幅広い条件下で高精度に異常音を検知していく。
設備点検自動化サービスと異音検知システムでは、設備の点検を対象にマイク機能を搭載した独自開発のレトロフィット無線センサーで設備の稼働音を収集、解析し、異常音を検知する。レトロフィット無線センサーは、日立の自社工場での実績やノウハウをもとに実用化したもの。電池駆動、防水防じん、無線通信が可能で、電源や通信ケーブルの設置が難しい屋外や高所の現場でも容易に導入可能だ。さらに、独自の省電力設計により、電池による5年間連続の稼動を実現する。分析にはAI技術を適用し、正常時の音響データをAIに学習させるだけで音の異常を可視化できる。
両サービスとも利用価格は個別見積もり。