IDC Japanは、新型コロナウイルス感染症に伴う企業のITシステム開発体制を調査した結果を発表した。政府の緊急事態宣言(4月7日~5月25日)前後で変化が見られたとする。
調査は8月に行い435社から有効回答を得た。宣言期間中に在宅によるフルリモート開発を行った企業は34.9%、在宅と出社を併用した企業は25.7%で、リモート開発の実施率は約60%に上った。一方で、宣言解除後の8月25日時点はフルリモート開発を行う企業が22.5%、併用している企業が31.5%、感染拡大前と同様の開発体制とする企業は23.4%だった。
感染拡大前の体制とフルリモート体制での開発生産性を尋ねた結果では、48.8%が低下したと答え、生産性が25%以上も低下したとする企業は16.7%に上る。併用体制でも開発生産性が低下したとする企業は63.9%に達し、生産性が25%以上も低下したとする企業は26.2%あった。同社は、フルリモート開発より併用体制の方が生産性は低下すると解説している。
リモート開発の課題には、「エンジニア間のコミュニケーション不足による進ちょくの遅れ」「エンジニアごとの進ちょくやタスク状況の把握のしづらさ」「要件定義/設計/変更などの調整の難しさ」などが多く挙げられた。
ソフトウェア&セキュリティのグループマネージャーの入谷光浩氏は、リモート開発での開発生産性の向上には、「細かい調整までできるコミュニケーション環境と進ちょくやタスクの共有環境の整備が必須。週に数回の出社を義務付けるなどの中途半端なリモート開発体制にすると逆に開発生産性の低下を招く恐れがある」と指摘している。
出典:IDC Japan