Oracleは、英国でクラウドインフラのプレゼンスを拡大させる中、新たにデュアルリージョンの政府機関向けクラウドサービスを立ち上げている。ロンドンとウェールズに拠点を置く。Oracleによる英国の政府クラウドリージョンはこれまでにも、内務省や国民保健サービス(NHS)などをはじめとする英国の公共セクターで利用されており、今回新たに拡大される。
同社のインフラ構成は、英国の公共部門でのみ使用されることを前提として設計されており、「Autonomous Database」や各種クラウドアプリケーション、Kubernetesや「Oracle Cloud VMware Solution」などを含む、Oracle Cloudのサービスポートフォリオが提供される。
Oracle Cloudの拡張計画には、自律型のクラウド製品のほかに、規制産業や政府機関向けのサービスも大量に含まれている。Oracle Cloud InfrastructureのバイスプレジデントScott Twaddle氏によれば、英国の2つの新リージョンはOracle Cloudの27番目と28番目のリージョンにあたり、同社は2021年半ばまでに36リージョン体制にまでインフラを拡大する計画だという。
Twaddle氏は、「これはサービスを提供する国ごとに2つのリージョンを構築する戦略の一環だ」とし、「英国で当社の環境は、データ主権とセキュリティの要件を満たしている」と述べている。
またTwaddle氏は、英国の2つのリージョンのスタッフには、セキュリティクリアランスを取得した英国住民が充てられるとした。
同社は、ロンドンとウェールズの2拠点で構成されるOracleのデュアルリージョン政府クラウドをOracleのプライベートネットワークバックボーンと連携させ、各リージョンの災害復旧とデータ主権の要件のバランスを取ろうとしている。
Twaddle氏は、英国の拠点の場所選びは脅威分析に基づいており、2つ拠点が同じ脅威ベクトルに直面しないように選ばれていると述べた。同氏は、「自然災害や電力網、地政学リスクについて検討した」と述べている。
Oracleによれば、このデュアルリージョンクラウドは、英国の政府や国防関係の省庁と連携して設計されたという。Oracleがウェールズに拠点を設けるのは、この英国政府向けクラウドが初めてだ。
Oracle Cloudは最近、ZoomのIaaSとして選定されるなど拡大を見せている。
各クラウドプロバイダーは先を争ってリージョンを増やしており、Oracleは規制の対象となる顧客へのアプローチを強めている。同社は現在、世界に28のリージョンを持っているが、そのうち21が商用リージョンで、7つが政府向けのリージョンや米国の情報機関向けリージョンだという。
また同社は今後、事業を展開するほぼすべての国に、少なくとも2つのリージョンを設ける計画だとした。米国、カナダ、EU、英国、韓国、日本、インド、オーストラリアにはすでに2つのリージョンがあり、ブラジル、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、EUの各国には2つ目のリージョンが設置される予定だという。
Twaddle氏は、Oracle Cloudは今後、より多くの政府機関顧客に、豊富なサービスをパブリッククラウドで提供しているのと同じ価格で提供していくと述べている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。