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AIの民主化から汎用AI実現に向けた議論まで--「State of AI Report」著者に聞く - (page 4)

George Anadiotis (Special to ZDNet.com) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2020-11-20 06:30

これは汎用AIへの道なのか?

 AIを進歩させる方法、そしてAGIという話題は、科学や工学についての話であるのと少なくとも同等に哲学についての話となる。この点についてBenaich氏とHogarth氏は、GPT-3のようなモデルに対する批判を受けたかたちで、ホリスティックなアプローチを展開している。GPT-3などのアプローチを批判する急先鋒はGary Marcus氏だ。Marcus氏はGPT-3が登場する前から一貫して、「ブルートフォース」アプローチでは規模の大小に関わらず変革を起こせないと、モデルに対する批判を繰り広げている。

 Benaich氏はMarcus氏の批判を簡潔にまとめている。GPT-3は何らかのヒントを受け取り、たいていの場合にはそのヒントに見合った、人が読んで理解できるテキストの並びを出力するという素晴らしい言語モデルだ。さらに追加しておくべき点として、GPT-3はそれ自体が独自の領域を構成し得る、例えばソフトウェアコードの記述といったその他の領域にも適用できる

 しかし当然ながら、GPT-3では表現上のバイアスを生み出したり、不適切な結果を生成するケースもいろいろある。ここで、どのようにしてGPT-3のようなモデルのパフォーマンスを測定できるのかという興味深い点が出てくる。Benaich氏とHogarth氏はレポートに、GLUESuperGLUEといったNLP向けの既存のベンチマークで言語モデルが好成績を収めるようになってきていると記している。

 これらのベンチマークは、論理から、常識の理解、語彙(ごい)意味論に至るまでのさまざまなタスクを対象に、AIの言語モデルと人間のパフォーマンスを比較するためのものだ。GLUEでは1年前に1ポイントの差で人間のベースラインが破られた。そして今日において、人間はほぼ確実に負け、GLUEよりもハードルが高いSuperGLUEでも負けを喫しそうな状況だ。

State of AI Report 2020
AI言語モデルはどんどん進歩しているが、それはAGIの実現に近付いていることを意味しているのだろうか?
提供:metamorworks, Getty Images/iStockphoto

 この結果については複数の解釈が可能だ。その1つに、AI言語モデルが今や人間と同じくらい優秀になったというものがある。しかし、Marcus氏が指摘している欠点に目を向ければ、その解釈は正しくない。つまり、新たなベンチマークが必要になっているのだろう。カリフォルニア大学バークレー校のリサーチャーらは、こうした問題をさまざまなタスクを通じて捕捉することを目指す新たなベンチマークを公開している。

 Benaich氏によると、GPT-3の機能を拡張するという興味深いアプローチは、PolyAIをめぐる議論と関連があるという。それは、特定の入力からどのような出力を生み出せるかに関して制限を設ける、あるいは少なくとも微調整できるある種の切り替え機構をモデルに組み込むという観点だ。そして同氏は、これにはさまざまな方法があると付け加えた。

 筆者は以前に、ナレッジベースやナレッジグラフの利用に関する記事を執筆している。Benaich氏は、より汎用的なシーケンス生成モデルにこの種の統制を組み込むために利用できるある種の学習済みの意図という変数についても言及している。同氏は、こういった批判的な観点についてもある程度の有用性が存在しており、それらは本番環境でGPT-3のようなモデルを有用なものにする上で利用できると考えている。

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