Zendeskは10月、Enterprise Strategy Group(ESG)と共同で実施した、顧客体験(CX)に投資するビジネスメリットについての調査結果を発表した。その調査結果を踏まえて、同社 製品担当プレジデントのAdrian McDermott氏が顧客サービスのトレンドを考察した。
Zendesk 製品担当プレジデントのAdrian McDermott氏
この調査では、北米、欧州、アジア太平洋、ラテンアメリカの1000人以上のCX担当マネージャーとリーダーを対象に、CXへの投資状況について質問したもの。ESGは、調査データから「CX Maturity Scale」(CX成熟度評価)を策定し、CXの成熟度を「スターター(Starter)」「ライザー(Riser)」「チャンピオン(Champion)」の3つのレベルに分類している。
この成熟度評価をもとに、顧客サービスのパフォーマンス、エージェントの経験/作業、ビジネス成果を成熟度レベル間で比較することで、成熟度レベルが向上するにつれて存在する違いを定量的に示した。
調査結果によると、チャンピオンと評価されている企業は全体の4分の1(24%)に過ぎず、大多数の企業はCX成熟度の初期段階にある。McDermott氏は「顧客体験を向上させるためには、未開拓の可能性がある」と指摘する。なお、ライザーは33%、スターターは42%だった。
では、チャンピオン企業は実際にどのような競争優位性を持っているのだろうか。新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的な大流行)の中でも、中堅~大規模企業におけるチャンピオン企業はスターター企業と比較して顧客支出額の伸び率が8.7倍になり、小規模企業のチャンピオンの場合は9.2倍になっている。
また、過去6カ月間で中堅~大規模企業のチャンピオン企業は3.3倍高い割合で顧客ベースを拡大したという。小規模企業の場合もチャンピオン企業は3.6倍高く、同様の成長を遂げている。
チャンピオン企業はスターター企業と比べて、社内の経営幹部から投資やサポートを多く受けている。例えば、経営幹部が顧客サービスを差別化要因とみなす割合についても、中堅~大規模企業の場合はチャンピオン企業が3.8倍高くなった。
さらに、中堅~大規模企業におけるチャンピオン企業は、4.9倍高い割合でリモートワークに効果的に移行し、小規模企業の場合は7.8倍に達しているという。
McDermott氏は日本の調査結果についても考察し、「CX領域に大きな潜在的な可能性がある」ことを明らかにした。具体的には、エージェントの効率性を「高い」または「市場をリードする」と評価している企業は14%にとどまり、カスタマーサービスやサポートチームが競争上の差別化要因となっていると回答した企業はわずか7%だった。
過去6カ月間に市場シェアが拡大した企業も14%で、過去6カ月間に月に顧客1人当たりの支出額が大幅に増加したと回答したのは2%だった。10%がリモートワークの移行が非常にスムーズに進んでいると回答し、5%が今後12カ月間に自社のCXへの投資が大幅に増加すると回答した。