ガートナー ジャパンは11月10日、記者会見を開催。世界と日本のデジタルガバメント(政府)に関する見解を発表した。
国際連合加盟国でのオンラインサービスの提供や通信接続性、国民の能力の3要素を組み合わせた指標「E-Government Development Index」(EGDI)で見ると日本の順位は2020年が第14位(2016年が11位、2018年が10位)。トップ15カ国の傾向を踏まえると、日本は2016年から停滞の動きが見うけられる。
ガートナー ジャパン コンサルティング部門シニアマネージングパートナー ハイテクメディア通信業界統括責任者 兼 M&Aアドバイザー統括責任者 中村拓郎氏
ガートナー ジャパン コンサルティング部門 シニアマネージングパートナー ハイテクメディア通信業界統括責任者 兼 M&Aアドバイザー統括責任者 中村拓郎氏は「人口あたりのIT支出が低いことと相関している」と考察した。
「状況に応じて再構成、再配置して最適化し続ける」
政府が取り組んでいるデジタル庁の発足からも分かるとおり、現時点で行政のデジタル化、もしくはデータ活用が進んでいるとはいいがたい。国連経済社会局やGartnerの調査結果によれば、人口あたりの政府IT支出額を2014年と2018年で比べても下降傾向にあり、その効果には疑問が残る。
これらの状況を「Gartner デジタルガバメント成熟度モデル 2.0」に照らし合わせながら、中村氏は「データ活用に焦点を当てているのは韓国、英国、デンマーク。韓国と英国は『2』を超えて『3』へ、デンマークは『3』から『4』へ突入している」と説明した。
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デジタル政府を実現する上で中村氏は「Composable(構成可能)が重要」と強調。Composableの意味するところは「一過性ではなく状況に応じて再構成、再配置して最適化し続けること」(中村氏)であり、社会変化へ俊敏に対応し続ける姿勢、成熟度の向上を高めるキーワードであると説明した。そのために必要な要素として、次の3つが欠かせないという。
- 国民や社会需要に対して、部門間を超えた要素の再構成や再配置を迅速に行い、解決に導くと同時に、組織の各層が指導力を備えて復元力の高い組織を形成する「コンポーザブルシンキング(構成可能な思考)」
- 国民の社会参加や政府内外のエコシステムに対する需要を検知し、組織の要素を再構成や再配置を実現する枠組み「コンポーザブルビジネスアーキテクチャー(構成可能なビジネス構造)」
- 各構成要素の相互説を可能にすることで、用途に合わせた再構成、再配置を実現する「コンポーザブルテクノロジー(構成可能な技術)」
これら3要素を実現している事例として、同社は英国、韓国、デンマークの取り組みを紹介した。