C3.aiの最高経営責任者(CEO)であるTom Siebel氏はどんな話題についても一家言持っている。同氏が次に取り組もうとしているのは、人工知能(AI)を使ってCRMのソフトウェアを新たな方向に展開することだ。
C3.aiは最近、Microsoft、Adobeとパートナーシップを結び、データ、CRM、AIを統合する取り組みを進めると発表したばかりだ。米ZDNetはSiebel氏にインタビューを行い、C3.aiの研究部門であるDigital Transformation Instituteの取り組みや、新型コロナウイルスの研究用データレイク、教育の次のイノベーション、なぜソーシャルメディアに規制が必要かなどの話題について話を聞いた。
この記事では、Siebel氏に行ったインタビューの要点をいくつか紹介する。
C3.ai、Microsoft、AdobeのパートナーシップとCRMの将来
Siebel氏によれば、CRMの次のフェーズは、機械学習モデルと、AIを前面に出したインターフェースの構築を中心に展開されるはずだという。C3.aiは3社のパートナーシップで、「Microsoft Dynamics」「Azure」「Adobe Experience Cloud」の上部レイヤーを担当する。この取り組みは、石油・ガス、公的事業、製造業、ヘルスケアなどの業界をターゲットとしたものだ。
1990年代にSiebel SystemsでCRMを商品化した人物であるSiebel氏は、次のように語った。
CRMの次の世代では、当然CRMにAIを適用するという話になるだろう。McKinsey Global Instituteも、今後AIが最大の影響を及ぼすのはセールス、マーケティング、顧客サービスの分野で、年間3兆ドル(約320兆円)の経済効果を生むと予想している。つまり、それが次世代のCRMになることは明らかだ。市場は私たちにソリューションを求めている。今の市場にはそのようなソリューションは存在しないようだから、私たちが顧客の要求に応えるということだ。
新型コロナウイルス研究とC3のDigital Transformation Instituteの次の取り組み
C3は、新型コロナウイルスに関する世界最大級の40のデータセットを集約したデータレイクを構築した。現在、毎日3000人の研究者がこのデータセットにアクセスしている。C3とMicrosoftは新型コロナウイルスに関する研究助成金コンテストも実施している。Siebel氏は、「私たちはこの病気の知識体系に対して大きく貢献できるだろう。政策立案担当者が、より確かな情報に基づいて政策判断を行えるようにしたい」と語った。