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記事まとめ「テレワーク常態化で見えたこと」
VMWorld

コロナ禍でITのニューノーマルを模索する企業の動き

國谷武史 (編集部)

2020-11-16 06:00

 新型コロナウイルス感染症のパンデミックに伴う社会的な変化の中、多くの企業がテクノロジーを活用して「ニューノーマル(新常態)」と呼ばれる新しい姿に変化を遂げようとしている。ヴイエムウェアが11月10~12日にオンラインで開催した「VMworld 2020 Japan」では、同社顧客の日本総合研究所、LIXIL、ZOZOテクノロジーズ、SOMPOシステムズ、三菱自動車工業がITのニューノーマル向けた取り組みを説明した。

DXの取り組み、コロナ禍での変化

 日本総合研究 代表取締役 副社長執行役員の井上宗武氏は、三井住友フィナンシャルグループのデジタル変革(DX)戦略として「生産性向上」「リスクテイク」「サービス高度化」「顧客基盤拡大」「プラットフォーム」の5つを軸に、「デジタルプラットフォーム」の構築と整備、拡張に取り組んできたと語る。

日本総合研究 代表取締役 副社長執行役員の井上宗武氏
日本総合研究 代表取締役 副社長執行役員の井上宗武氏

 同社では、2018年までにアジャイル開発手法やコンテナー技術、2019年からAPIやマイクロサービス、ゼロトラスト、リモートアクセスなどをデジタルプラットフォームに導入、 現在は4世代目に向けた概念実証が進行中という。ニューノーマルに向けては、業務効率化と新規ビジネスの観点で臨んでおり、後者では小松製作所らと建設業界向けに金融サービスを展開するランドデータバンクや、弁護士ドットコムとは電子契約サービスのSMBCクラウドサインをそれぞれ設立している。

 井上氏は、こうした取り組みにおいて「(金融企業であっても)テクノロジー企業に匹敵する技術とデジタルプラットフォームが必須になっている」と話す。中核ビジネスの金融領域ではシステムの高信頼化と刷新を進め、DXでは上述した新会社設立などのように非金融業界の企業と連携した新しいプロダクトを生み出す。

 「特にDXは内製化が重要なので専門部隊を編成し、経験者の中途採用と若手の内部登用で人材を確保している。パートナーとも連携し、テクノロジー企業と同等のデジタルプラットフォームに進化させていく」と述べている。

 LIXILは、Google Cloud、Amazon Web Services(AWS)、Microsoft Azureを利用するマルチクラウド環境を運用する。理事 デジタル部門基幹システム統括部長兼システムインフラ部長の岩﨑磨氏によれば、国内外で複数業態の企業群が合併した経緯により、「外部ベンダー中心の運用管理」「数千台の仮想サーバーの稼働基盤老朽化」「ビジネスの変化に対応しきれないアーキテクチャー」「グローバル規模での合併によるリスク」が課題だった。

LIXIL 理事 デジタル部門基幹システム統括部長兼システムインフラ部長の岩﨑磨氏
LIXIL 理事 デジタル部門基幹システム統括部長兼システムインフラ部長の岩﨑磨氏

 これら課題には、「ITインフラのコントロールを取り戻す」「短期でクラウドに移行する」「マルチクラウドによるモダンアプリケーションアーキテクチャー」「グローバルで一貫性あるポリシーとセキュリティを確保する」との方向性で解決に臨んでいる。一見すると、複雑なマルチクラウドはこの方向性に逆行するが、変化へ柔軟に対応するためにはむしろ有効な方策と考えているそうだ。LIXILは以前からVMwareを利用しており、VMwareがマルチクラウド戦略を進めるため、岩﨑氏はベンダーと顧客という関係性より共同パートナーとの関係にあると述べた。

 実際の取り組みで、例えば、数千台に上る仮想サーバーのオンプレミスからクラウドへの移行にはVMware HCXを利用し、ダウンタイムを最小限にとどめつつ現在も移行中にある。終了予定は2021年度としており、以降の運用面もVMwareベースで環境を整備していく計画だという。

 岩﨑氏は、「(顧客の中でLIXILは)早い時期からHCXを採用している。良い技術は早く使って早く結果を出すことがお互いのためになる」との持論を紹介している。

 ZOZOテクノロジーズは、過去には商戦期におけるウェブサイトへのピークトラフィックに合わせて物理サーバーにリソースを調達していたという。だがクラウドのリソースを柔軟に使う対応へと短期で変更するために「VMware Cloud on AWS」を導入。現在ではトラフィック量に応じてリソースの拡張や縮小が柔軟にできる利便性を享受している。

ZOZOテクノロジーズ 執行役員 CTOの今村雅幸氏
ZOZOテクノロジーズ 執行役員 CTOの今村雅幸氏

 執行役員 CTO(最高情報責任者)の今村雅幸氏は、コロナ禍の前後を通じて多くの変化を進めきたと語る。例えば、働き方改革は2020年の東京五輪開催を見据えて2018年に着手し、ゼロトラストモデルに基づくテレワーク環境を構築していた。コロナ禍で五輪は延期され感染防止の点でテレワークに至っているが、同社エンジニアの生産性は従前の1.5倍に増えているという。

 また、同社サイトへ出展しているブランドは、コロナ禍で実店舗の営業休止や自粛を余儀なくされていることから、ウェブサイト構築を含む短期でのオンライン化やスタッフ教育などの支援を行っているという。顧客向けには、世間の話題を集めた「ZOZOスーツ」のように、コロナ禍でもショッピングを楽しめるオンライン試着体験や検索機能の拡充、AI(人工知能)の活用に取り組んでいる。

 今村氏は、古い技術を使い続けることによるコストや負担の増大といった、いわゆる「技術的負債」がテクノロジー活用による変化の対応や開発スピードの足かせになると指摘し、同社では「イノベーションチーム」と「リノベーションチーム」による体制で、技術的負債を解消しながら新しいテクノロジーを取り入れている。「先入観をなくし、予想から逆算して実行していくたことがポイント」と今村氏は述べた。

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