海外コメンタリー

場所を問わない働き方は2021年にどんな変化をもたらすのか

Greg Nichols (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2020-11-30 06:30

 将来、歴史的な転換点になったと言われるに違いない時代を生きることは、不思議な体験だ。私たちの短期的な対策は、長期的な変革へと道を譲りつつあるが、その変化は驚くほど大きい。いずれにせよ、働き方や企業文化に対する変化のうち、どれが今後も生き残っていくのかはよく分からず、どれを選び取ればいいかは賭けになる。

 幸いなことに、中にはこの不透明な時代の先を見通す予想を積極的に共有している経営者もいる。Miroの創業者であり、同社の最高経営責任者(CEO)を務めるAudrey Khusid氏も、そんな人物の1人だ。同社が販売するデジタルホワイトボードプラットフォームは、3月以降にユーザー数が370万人から900万人に増え、今ではFortune 100企業の95%に導入されている。そんなMiroを率いるKhusid氏は、変化し続けている職場の進化を、最前列の席から見ることができる立場にある。

 同氏は、2020年に目にしてきたものを元に、在宅勤務は今後「場所を問わない勤務」(Work From Anywhere:WFX)に変わり、その結果大きなデジタルトランスフォーメーション(DX)が起きると予想している。では、ほかにはどんな変化が起こるのだろうか。筆者は、Khusid氏にインタビューを行い、同氏が考える未来について尋ねた。ここでは、2021年に向けての同氏の6つの鋭い予想を紹介する。

在宅勤務は場所を問わない勤務(WFX)に変わる

 リモートワークを恒常化すると発表する企業は増えている一方で、移動の制限やソーシャルディスタンスの確保はいずれ不要になっていく。その結果、移動の機会が再び増えると、何百万人もの従業員が、新たに手に入れたリモートワークが可能な環境を、場所を問わずに働ける機会だと捉え、都市部以外の場所に居を構えて家族との失われた時間を取り戻したり、リモートでの生活や「ワーケーション」のチャンスを生かしたりし始めるだろう。企業はこの1年間、オンラインでの協力作業を可能にする技術に投資してきたため、従業員の多くはシームレスにWFXに移行できるし、企業の側もそれに気づかないだろう。

米中西部では「頭脳流出」が減少する

 米国では、米中西部の高度なスキルを持つ大学卒業生が、地元を離れて、シリコンバレーやニューヨーク、オースティンなどの経済が盛んな都市に移住する現象を指して、「頭脳流出(Brain Drain)」と呼んでいる。リモートワークは、ついにこの現象に終止符を打つことができるかもしれない。リモートワークは、機会を求めて米中西部を離れなくても、大勢の若者がマディソンやグランドラピッズ、アッシュビル、ボルダー、ナッシュビル、ローリーなどの地方中核都市に止まったまま働くことを可能にしてくれる。人材が地域に残れば、米国の文化は大きな影響を受け、不動産市場から選挙に至るまであらゆることに変化が及ぶだろうが、米国の企業は引き続き最高の人材を採用し続けることができる。

 バッファロー、サウスベンド、シャーロットなどの都市からアクセラレーターが登場していることも、その影響の一環だ。

ハイブリッドな働き方は、準備が整っていない組織に新たな課題をもたらす

 何千もの企業が、徐々にチームをオフィスに呼び戻し、リモートでの作業とオフィスでの作業を組み合わせるハイブリッド戦略を導入するだろう。ハイブリッドな働き方は、健康面での懸念を抱える従業員を守るためにはよい妥協案だが、その代わり、社内の協力作業に、2つの働き方の悪い面を両方とも取り込んでしまうリスクがある。

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