一方で舘野氏は「過去にここまで上昇した例はない。ごく一部かもしれないが、コロナ禍でベンダーが出向けずにサポートできないケースがあったという。ある程度は自分たちで対応しなければ、と気付いた可能性もある」と語った。
他方でデジタルトランスフォーメーション(DX)推進部門の設立状況は18%が設置済み(2019年度は15%)、既存部門が代替する企業は28%(同27%)、部門横断型のプロジェクトチームが担当する企業は21%(同19%)、存在しない企業は25%(同29%)、不明は7%(同10%)という結果だった(2020年度はn=2651、2019年度はn=2812)。
何らかの形でDX推進に取り組んでいる企業が61%(2019年度)から67%(2020年度)と7割に迫る勢いである。さらにDX推進に取り組んでいる企業のIT投資インデックスが軒並みプラス。DXに関する組織体制とIT予算は相関しており、DX組織を持つ企業ほどITインデックス指数が高い結果となった。
三浦氏は一例として「中小企業向け勉強会に参加しているが、皆さんDXに関心を持っている。一番の課題はDXに詳しい人が社内外におらず、在宅勤務を成功させる方法を考える人がいない。DX化を支援する企業はないのか、と問われる」と解説、中小企業のIT投資判断が振るわない理由を説明した。
また、DXへの位置付けとして全社レベルの最重要事項と回答したのは27%、部門部署レベルの重要事項と回答したのは33%、自社への効果は限定的と回答したのは22%、重視していないは9%、無関心は6%、不明は2%という結果に。DXの取り組み状況を業種別に見ると、金融・保険や情報通信は増加傾向にあるが、建設・不動産やサービスは減少し、業界によって温度差がある。
この調査結果について舘野氏は「(効果は限定的と回答した方々は)デジタルに詳しいと自負しているが、懐疑的に見る方が選びがちな項目でDX推進の阻害要因となってしまう。今年は若干増加し、“DX疲れ”が少なからず起きているのだろう。(DX推進に)前向きなマインドを持つ方々を育成する取り組みが必要だ」と警鐘を鳴らした。
自社のデジタル化遂行に対するコロナ禍の影響度を調査すると、加速すると回答した企業が半分を占め、減速すると考えている企業は2割程度(n=2651)。内訳を見ると、大いに加速すると回答したのは13%、やや加速と回答したのは37%、変わらないと回答したのは31%、やや減速と回答したのは14%、大いに減速と回答したのは6%だった。
「コロナ禍における緊急施策の実施状況」を見ると、リモートワーク制度やコミュニケーションツール、リモートアクセス環境の導入が上位に並ぶ。