DXは中堅中小企業にとって成長へのチャンス--日本能率協会の調査から読み解く

松岡功

2020-11-19 07:00

 本連載では、筆者が「気になるIT(技術、製品、サービス)」を取り上げ、その概要とともに気になるポイントを挙げてみたい。今回はいつもと趣向を変えて、日本能率協会がまとめた「日本企業におけるDXへの取り組み状況の調査結果」を取り上げる。

5割超の企業がDXの推進、検討に着手済み

 日本能率協会(JMA)は先頃、「日本企業の経営問題2020~DX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組み状況」(PDF)と題した調査結果を発表した。同調査は2020年7月20日から8月21日にかけて実施し、JMAの法人会員およびサンプル抽出した全国企業532社から回答を得た。

 まず、DXへの取り組み状況については、全体では、「既に取り組みを始めている」が28.9%、「取り組みを始めるべく、検討を進めている」が28.4%となり、合わせると、DXの推進、検討に着手している企業が57.3%と、5割を超えた。

 特に、従業員数が3000人以上の大企業においては、「既に取り組みを始めている」が51.1%と半数を超え、「検討を進めている」の32.1%と合わせると、8割超がDXの推進、検討に着手済みであるという結果が見られた。

 また、従業員数300人以上3000人未満の中堅企業では、DXの推進、検討に着手済みとする比率が56.0%、従業員300人未満の中小企業では34.9%となっているほか、「これから検討する」が中堅企業で35.3%、中小企業で43.2%あり、多くの中堅中小企業がDXに関心を示していることがうかがえる。(図1

図1:DXへの取り組み状況(出典:JMA) 図1:DXへの取り組み状況(出典:JMA)
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 「DXの取り組みを既に始めている」もしくは「検討を進めている」と回答した企業(305社、全体の57.3%)に対して、「DXの推進を担当する役員の任命状況」を聞いたところ、全体では、「専任で担当する役員を任命している」が7.9%、「兼務で担当する役員を任命している」が32.1%となり、合わせると4割の企業がDX担当役員を任命しているという結果が見られた。

 特に、大企業においては、「専任役員を任命」が13.8%、「兼務役員を任命」が45.9%と、6割近くがDX担当役員を任命していることが分かった。(図2

図2:DX担当役員の任命状況(出典:JMA) 図2:DX担当役員の任命状況(出典:JMA)
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 また同様に、「DXの推進を担当する部署の設置状況」について聞いたところ、全体では、「専任で担当する部署を設置している」が24.3%、「兼務で担当する部署を設置している」が15.4%となり、DX担当部署を設置しているとする企業が約4割となっている。

 一方、「組織横断的なプロジェクトチームがある」が13.8%、「IT部門内に担当者がいる」が12.1%、「経営企画部門内に担当者がいる」が8.9%など、部署は設置していないものの、プロジェクトチームや既存の部門内に担当者がいるとする割合が合計で41.0%となっている。

 特に、大企業においては、「専任部署を設置」が42.2%、「兼務部署を設置」が14.7%となり、DX担当部署を設置している割合が56.9%となっている。一方、中堅小企業では、「担当する部署や担当者は置いていない」が2割前後となっており、組織体制に課題があることがうかがえる。(図3

図3:DX担当部署の設置状況(出典:JMA) 図3:DX担当部署の設置状況(出典:JMA)
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