クラウドベースのマニュアル手順書作成ツール「Teachme Biz(ティーチミー・ビズ)」を提供するスタディストは11月18日、小売業向けにクラウドベースで販売促進のPDCAサイクルを管理するプラットフォーム「Hansoku Cloud」を発表。11月24日から提供する。
同社が小売業3社とメーカー9社の協力を得て、19回のべ518店舗でHansoku Cloudの導入実験を行った結果、平均27.7%の販売点数増加を実証しているという。
Hansoku Cloudは税別初期費用50万円に税別月額10万円で20アカウントを発行し、初年度は初期費用+月額費用12カ月分の支払いを必要とする。10アカウント月額5万円のオプションも別途用意した。配信施策数に制限はない。
本格導入前に効果を見極める5カ月限定の実証実験プラン(50万円)や追加オプションアカウント、大規模店舗向けの割引も用意する。
スタディスト 代表取締役 鈴木悟史氏
スタディスト 代表取締役 鈴木悟史氏はメーカーや小売業がHansoku Cloudを導入することで「単に売り上げが向上するだけではなく、販売促進施策内容の改善サイクルが回せる。これまでブラックボックス化していた店頭実現率とリードタイムが明確になり、改善精度が向上する」と説明した。
並んでいないものは購入できない
スタディストは、8月からTeachme Bizを非接触型の研修に活用する施策を発表している。鈴木氏は「人材育成に舵を切り始めた。リモートで実践的な研修を実現できる」と述べつつ、集合研修と比較して習得率が31.2%向上したことを強調した。
Teachme Bizの利用企業はトップに製造業(21%)、次に小売業(13%)と続く。そうしたユーザー企業の声として「『うちの店頭実現率(展開率や山積率)はスーパーバイザーが飛び回っても70%前後』が大きなきっかけ。並んでいないものは購入できない。つまり3割の機会損失が生じている。たとえば広告で見かけた新しいシャンプーをほしい場合、店舗になければ購入不可能。これを変えたい」(鈴木氏)との理由からHansoku Cloudの開発に着手したと説明する。
鈴木氏の説明によれば小売業の現場では、「(店頭実現率が向上しない理由は)本部からの店舗指示書がMicrosoft Excelなどを用いた文字ベースで、作成者によって内容にばらつきがある。また、配信もグループウェアやメール、電話など多くのチャネルを使用するため、店舗側は全体状況の把握が難しくパンクしてしまう」といった課題を抱えているという。
五月雨式に飛ぶ店舗への作業指示をHansoku Cloudに一本化し、文字ベースの指示書作成をTeachme Bizで視覚化。商品の店頭陳列など実行結果を、タブレットで撮影して本部へ送信する簡素化や売り上げデータのグラフ化する機能も備えることで「販促施策実行時の『本部と店舗のコミュニケーション』の仕組みを変える」(鈴木氏)ことを目的としている。Hansoku Cloudの事業責任者はドラッグストア出身だという。
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