松岡功の一言もの申す

マイナンバーカードの普及は加速するか?--平井担当大臣の発言から読み解く

松岡功

2020-11-19 11:33

 政府がマイナンバーカードの普及を加速させようと注力している。政策の目玉である行政のデジタル化推進に欠かせないからだ。果たして、思惑通りに加速するか。

健康保険証や運転免許証と一体化してスマホにも搭載へ

 「マイナンバーカードを国民の皆さん全てが取得していただくよう、担当大臣としてお願いしたい」――。こう語るのは、デジタル改革担当大臣でマイナンバー制度における内閣府特命担当大臣も務める平井卓也氏だ。NECが先頃オンラインで開催した「NEC Visionary Week」のキーノートスピーチでのひとコマである(写真1)。

写真1:デジタル改革担当大臣でマイナンバー制度における内閣府特命担当大臣も務める平井卓也氏
写真1:デジタル改革担当大臣でマイナンバー制度における内閣府特命担当大臣も務める平井卓也氏

 「これからデジタル社会を推進していくに当たり、個人情報の保護やプライバシーといったセキュリティの問題に対処していくことは非常に重要だが、それ以前にまず国民一人ひとりがIDをきちんと保持していることが、デジタル社会を健全に運営していくための必須の条件となる。なぜか。IDによって本人確認ができ、それに対して国がトラストアンカーとしてサポートしていくことにより、安全で安心な環境でさまざまなサービスやビジネスが行われるようになるからだ」

 ここで平井氏が「ID」と言っているのが、マイナンバーでありマイナンバーカードだ。総務省によると、マイナンバーカードの発行枚数は現在、約2800万枚で普及率は2割強。政府ではこの普及率のアップを加速させようと、2021年3月からマイナンバーカードに健康保険証の機能を加えて一体化し、医療機関や薬局がカードで患者の本人確認をできるようにするという。

 また、運転免許証との一体化も2026年度までに実現する方向だ。マイナンバーカードのICチップに免許情報を登録することで、免許更新時の書類提出や講習をオンライン化できる。カードの住所が変われば、警察署への住所変更届け出も不要になるという。

 そうした他の機能との一体化とともに大きなインパクトがありそうなのが、スマートフォンへのマイナンバーカードの機能の搭載だ。政府は2022年度中に実現したい意向を示している。ただ、スマホと一体化するメリットとデメリットについて慎重に検討すべきではないか、との声もある。

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