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データ分析の落とし穴--数字のウソを見破る技術

第2回:誤解を与えるグラフ、作っていませんか?

堅田洋資 (データミックス)

2020-11-25 07:00

少しのことでグラフの印象は変わる

 読者の皆さんはどんな場面でグラフを使うだろうか。営業やマーケティングなどビジネス部門であれば、営業資料の中で自社商品の良いことを定量的にアピールしたいときや事務部門の方であれば上司や社内の関係者に新しい企画や業績を説明する資料の中など、さまざまな場面でグラフを作成していることと思う。

 そして、それぞれの場面でグラフを作成する本人はグラフを通じて主張したいことやストーリーがあるはずだ。しかし、その主張やストーリーに沿ったグラフばかりではないのが頭を悩ませるわけだ。そして、そんなときに自身の主張やストーリーに合うようにグラフの見せ方を少し変えてしまおうという誘惑に駆られる。

 例えば、ある企業の人材教育担当者が大阪支社にだけデジタルトランスフォーメーション(DX)に関わるeラーニングを導入したとしよう。その効果を定量化するために大阪支社と規模が同等の広島支社とでDXに関する理解度をアンケートで集計した。その結果がこちらのグラフだ。

画像1

 おそらく、このグラフを見たら大阪支社の方が理解度が高く、広島支社の方が低いことが顕著で、eラーニングの効果があったという印象を持つのではないだろうか。しかし、よく見ると縦軸のスケールが「0」からのスタートではなく「60」になっている。そのため、大きな差があるかのような印象を与えることになっている。もし縦軸のスタートを0にすると次のようなグラフになる。

画像2

 今度はその差はわずかだという印象になったはずだ。このように縦軸のとり方ひとつ変えるだけでグラフを見る側の印象を変えてしまうことがあるというのがグラフの怖いところだ。

 Excelをはじめ、スプレッドシートやBI(ビジネスインテリジェンス)ツールのおかげで誰に教わるでもなく感覚的にグラフを描ける。そのため、自分の主張やストーリーに合うようにグラフを調整してしまったり、意図がなくても誤解を与えかねないグラフを作ってしまったりすることがある。そして、そのようなグラフを作らないようにすることはもちろん、他人が作ったグラフを見るときに注意することがデータリテラシーの向上につながる。そこで、本記事ではグラフを作るとき/見るときの注意点を解説していく。まずはグラフを作る際の基本を見ていく。

グラフには「比較」の要素を入れる

 グラフを作る際の最重要ポイントは「比較」である。グラフを通じて伝えたいのは、他と比べたときの大小とその程度や変化である。そのためには何と何を比較しているかが明確になっていなくてはならない。極端なケースではあるが、以下の棒グラフを見てみよう。

画像3

 おそらく、このグラフからは何も読み取れない。なぜなら比較する対象がないからである。そのため、前年の数字と比べるとするとどうだろう。

画像4

 これで前年と比較して増加したか減少したかが分かる。しかし、この差分がよくある増加幅なのかはこのグラフから読み取れない。さらに比較対象を加えると情報量が増える。

画像5

 このように、グラフを作成する場合はどこの部分を比較させたいのかを意識することが重要である。

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