FBI、膨大な記録資料の保管施設にロボット140台--機密情報もセキュアに

Greg Nichols (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2020-11-25 08:30

 書類ファイルでいっぱいの記録室から、紙の書類を物理的に探し出す作業の面倒さを想像してみてほしい。そして今度はその想像を、床面積25万平方フィート(約2万3000平方メートル)の施設に、紙の書類が詰まった36万個の書類容器が置かれている状況にスケールアップしてほしい。

FBI

 それだけではない。それらは単なる紙のファイルではなく、犯罪を防止し、人々の無罪を立証するために重要な役割を果たす可能性がある、法執行機関の機密性の高い記録だと思ってほしい。

 これが、米バージニア州ウィンチェスターに建設された、米連邦捜査局(FBI)が世界中に抱える250カ所以上の現場オフィスに分散していた記録を集約するための、ファイル検索用倉庫の管理者が直面している問題だ。FBIは記録をしっかりと残していることで有名で、設立から100年以上の歴史の中で、何十億ページもの書類を残してきた。20億ページ相当の資料を収容する施設を建設する仕事は、連邦政府の共通役務庁(GSA)の手に預けられたが、すぐに人間が手動でこれらのファイルの取り出し作業を行うことは不可能であることが明らかになった。

 そこに登場するのが140台のロボットだ。GSAは、さまざまなソリューションを検討した上で、ロボット企業のAutoStoreが提供している、自動的に記録の収容、取り出しを行うシステムを選んだ。このシステムは、無線制御されたロボットを使用するもので、資料の取り出し作業を合理化できるだけでなく、通路を設けずに資料を保管できるため、空間の利用効率も最適化できる。この施設内では、鋼鉄のグリッドの上を動くロボットが、必要な資料が36万個の書類容器のどれに入っているかを特定し、その場所にアクセスし、取り出す作業を行う。

 AutoStoreの最高経営責任者(CEO)Karl Johan Lier氏は、「当社の革新的な倉庫管理自動化技術を米国の政府機関に提供することは、光栄でもあり、名誉でもある」と述べている。「見事に洗練された高密度グリッド内で運用されるAutoStoreのロボットの素早さ、効率、正確性があれば、FBIはより効果的にミッションを遂行できるようになり、重要情報の管理の分野を主導する立場を維持することができるだろう」

 機密情報を扱う施設では、セキュリティが重要であることは明らかだ。これには、第三者の取引業者が機密情報にアクセスできないようにすることも含まれており、GSAと米国立公文書記録管理局は、取引業者を選定するにあたって、複数の候補を審査した。そのソフトウェアは、記録とともに容器の数字を管理しているため、システムを提供する取引業者が記録の内容自体にはアクセスせずに、安全にロボットを運用することができる。AutoStoreの本社はノルウェーにある。

 AutoStoreによれば、このシステムは資料の保管密度が高く、政府が施設の経費を削減し、貴重なスペースを空けるのに役立つはずだという。このバージニアの複合施設は2020年にオープンしており、2022年には全面的に運用される予定になっている。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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