通勤手当と聞くと、多くの企業にお勤めの方にとっては、毎月ないしは数カ月に一度給与とともに当然のように支給されている手当だと思われているでしょう。
そんな中、新型コロナウイルス感染症予防に伴う在宅勤務やテレワークの浸透により、多くの企業で交通費支給に関する見直し、具体的には、定期券を廃止し、出社日数に応じて実費支給に切り替えることが検討されています。
ただ、事例自体が少なく、通勤手当支給業務全般に影響を及ぼすこともあり、各企業の人事担当者は何から手を付ければよいのか、見当がつかないということも多いのではないでしょうか。
本記事では、現在多くの企業で検討されている「交通費の実費支給への切り替え」にあたり、どのようなプロセスで制度と運用を検討すべきかの5つのポイントを整理してみます。
約3割が交通費支給を見直し
最近になって少しずつ、ウィズコロナに対応した勤務制度を実施し始めた企業が増えてきました。通勤手当の支給を実費支給に見直すケースも増えてきています。
また、Works Human Intelligenceが6~7月に実施したユーザー企業への緊急アンケートにおいては、ユーザーの約3分の1の企業においても、交通費支給見直しの検討、実施が行われていることがわかりました。

交通費支給を見直すにあたりまず検討されるのが、上記の例の通りこれまでの定期代支給を実費支給へ切り替えることでしょう。実際、上記アンケート結果でも、切り替えを実施した企業からは次のような内容が報告されています。
一般的には、
- 6カ月定期、3カ月定期を実費支給に切り替える
- 次の一斉支給のタイミングで実費支給に切り替える
- 月の出社日数に応じて、定期⇔実費支給を都度切り替える
- 出社したときの交通費を経費として実費支給する
というやり方を試みる企業が多いようですが、実際多くの企業からは「正直何から手を付ければいいかわからない」「他社がどうしているのかを参考にしたいから聞いてみたけど、そちらも同じ状態で…」と、検討自体は行っているものの、実際に制度や運用まで固めて制度変更に着手したり、システム変更を検討したりしている企業は全体でも1割に満たないようです。
上記の背景を踏まえ、実際にどんな点を意識して制度設計をすべきか、5つのポイントに分けて解説していきます。