同社は、ITから人事、カスタマーサービスまで企業全体に跨るさまざまなワークフローを構築することで、より良い働き方の実現を支援するクラウドサービスを提供している。ちなみに、社名でありサービス名でもあるServiceNowには、「Service」としてのITを今「Now」すぐに届けたいというストレートな思いが込められている。
サービス全体の概要は、図2に集約される。中段にある「Now Platform」がPaaSで、ここにはワークフローをはじめ、データベース、AI、アナリティクス、ユーザーエクスペリエンス(UX)といった機能を装備している。
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最大のポイントは、このNow Platformが下段に記されている各業務のシステムと連携して横断的なワークフローを提供することができる点だ。各業務のシステムには、図に記されているようにさまざまなベンダーの「Platform」とも呼ばれるソフトウェアやサービスが多くの企業で使われているが、Now Platformはこれらを「ラッピング」するようなイメージである。
そして、ServiceNowはこのPaaS上でIT業務をはじめ、従業員や顧客向けにワークフローを展開できるSaaSも提供するとともに、誰でも新たなサービスをローコード/ノーコードで開発できる環境も用意している。こうしたことから、Now Platformは「Platform of Platforms」と位置付けられている。この位置付けが、同社のサービスのユニークさを象徴している。
こうしたサービスを提供するServiceNowが今回、リスク管理を最先端の取り組みによって強化したのは、企業の業務システム基盤を支えるソフトウェアを提供するベンダーとしての責任と使命をしっかりと遂行していることを意味する。
企業の業務システム基盤を支えるソフトウェアを提供するグローバルベンダーという観点では、Oracle、SAP、Microsoft、Salesforceなどが大手として挙げられるが、筆者の印象ではこれら大手のいずれもがリスク管理サービスにも注力している。その意味では、ServiceNowも大手の一角に入ってきたと。同社からすれば、リスク管理サービスの強化は、そうした大手の一角に食い込むための必然の取り組みといえよう。同社の思惑が奏功して、さらなる成長の加速につながるか、注目していきたい。