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富士通研、グラフAI技術などによる金融取引の解析性能向上を実証

NO BUDGET

2020-11-26 08:14

 富士通研究所は伊LARUSと共同で、富士通研究所が開発した説明可能なグラフAI(人工知能)技術「Deep Tensor」とLARUSのグラフデータベース基盤を組み合わせ、クレジットカードの決済サービスにおける不正を高精度に検出できることを実証した。

 これまでのデータアナリストの人手による不正取引パターンのルール作成には限界があり、見逃しや誤検知のリスクも懸念されているため、グラフAI技術による効率化が求められている。

 検証では、不正取引の分析を行うデータアナリストが手動で不正パターンのルールを定義する既存手法に対し、不正取引の検知率を72%から89%に向上させ、誤検知率を63%削減することができた。また、グラフAI技術により検知された不正事例の判断要因を合わせて提示することで、不正検知に関するルール作成の支援ができることを確認した。

検証システム構成
検証システム構成(出典:富士通研究所)

 この検証では、取引ごとの明細が格納された表形式データを、データ要素間の関係性が表現されたグラフデータに変換し、LARUSが提供するグラフデータベース基盤と、富士通研究所のDeep Tensorと組み合わせて解析した。

 実際のネットバンクのクレジットカードデータとPOSデータを使用して、これまで人手で作成された不正取引検知ルールと比べて不正取引の検知率や誤検知率がどの程度改善するかを検証し、さらに、Deep Tensorのもう一つの特徴である、判断理由の提示・可視化機能を使用し、その判断理由がデータアナリストから見て妥当なものであるかについても併せて検証を行った。

説明因子可視化の例(富士通研究所)
説明因子可視化の例(富士通研究所)

 不正の検知率、誤検知率ともに大きな成果を得たが、検知された不正事例に対する説明因子の可視化を行ったところ、データアナリストの見地から見てもその判断理由が妥当であり、不正取引検知のためのルール化を支援できることを確認できたことも大きな成果だといえる。

 近年、ソーシャルネットワークの活動履歴、化学分子の表現、金融取引、ウイルス感染の追跡などさまざまな領域でのAI活用において、データ要素間の関係性に重要な意味を持つグラフデータの活用に期待が高まっている。従来のリレーショナルデータベースに代わり、グラフデータベースにデータを格納することでデータ要素間の関係性をそのままの形で表現・解析できるようになり、現実社会の多様な関係性を考慮した高度な分析や、新たな知見の発見が可能になる。

 金融の分野においても、近年複雑化している不正取引を検知するためには、1件ごとの取引情報を解析するだけでは不十分で、取引間の関係をグラフ構造として解析する必要がある。例えば、不正取引の一つである循環取引の場合、1件ごとの取引自体は通常取引のように見えても、グラフデータの中にループ構造が表れる。グラフデータベースを利用すると、こうしたループのようなグラフ構造のパターンから該当する不正取引を検出することができる。

 今後両社は、グラフAI技術の有効性について、他の分野の検証も進め、グラフデータの利活用に向けて取り組んでいく。

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