ローコード開発を推進するためのハードル
ローコード開発のメリットはあり、注目もされる一方、日本で開発されるシステムのうち、ローコード開発で生み出されたシステムはまだ少なく、普及は緒についたばかりではないだろうか。ローコード開発が進まなかった要因は、以下のようなものが考えられる。
- 開発手法の変化に対する抵抗
- 開発スキルの空洞化に対する懸念
- 新しい手法の見えないリスクへ対する不安
- 具体的な適用方法が不明
今まで慣れ親しんだ手法を捨てることには、抵抗感があると思われる。また、プログラマーがソースコードを生成しなくなることで、ソースコードの生成、解読スキルが失われ、システム開発スキルが空洞化する懸念を持たれているのではないか。
また、工数削減や品質向などの効果で総論は賛成であっても、最初に自分がローコード開発を行うとなると、開発手法の転換によるリスクに二の足を踏む、具体的な適用方法がわからず踏み出せない、といったことがあるのではないだろうか。
ローコード開発の領域とツール
開発ツールと一口に言っても、その目的や用途は多岐にわたる。カテゴリー分けをしたうえで整理し、検討すべきと考える。筆者は、開発ツールを以下の4つに分類している。
- 業務アプリケーション開発:企業、団体の業務を実現するアプリケーション開発のための開発ツール
- 外部向けウェブサイト制作:企業、団体、個人が外部に発信するウェブサイト制作のための開発ツール
- ECサイト制作:企業、団体、個人がECサイトを制作するための開発ツール
- データシステム連携:データやシステム連携を司る開発ツール
ここでは、業務アプリケーションを開発するツールを紹介する。業務アプリケーション開発のツールでは、システム開発者の端末でシステムを開発する「開発ツール」と、システムの実行環境も兼ね備える「開発ツールと実行環境」の2分類に大別される。また、稼働環境は、開発端末、オンプレミス、クラウドに分類される。ライセンス課金対象や体系も含めて、比較の際には考慮いただきたい。
2020年12月現在の主なローコード開発ツール(出典:クニエ)
次回は、具体的にどのようなシステムでローコード開発を採用し、どのような効果があるかを紹介する。
(第2回は12月下旬にて掲載予定)
- 坂本 毅(さかもと つよし)
- クニエ CIOサポート担当 マネージャー
- IT企業、金融機関を経て現職。IT企業では、金融や製造業を中心にシステム運用アウトソーシングのセールスからデリバリーフェーズまで、数多くのプロジェクトを経験。金融機関では、IT経費削減、システム構造改革、システム開発の生産性向上、IT中計の策定などに従事し、IT戦略に関する豊富な経験を有する。現在は、ITマネジメントに関するコンサルティング業務を手掛けている。