コロナ禍はデジタル化に関する多くのことを加速させたが、その中には、技術に詳しくないユーザーが、比較的簡単なインターフェースを使って、自分でアプリケーションを作ることを可能にし、同時にプロの開発者の仕事もスピードアップさせるものがあった。「ローコード開発」や「ノーコード開発」だ。その一方で、一部の業界関係者は、シチズンデベロッパーがIT部門の役割を奪うことはないと指摘している。
コロナ禍によってローコード開発やノーコード開発の動きが加速したのは、もちろんその必要があったからだ。それに伴い、さまざまなプラットフォームが登場した。Forrester ResearchのアナリストであるJohn Bratincevic氏とJohn Rymer氏が発表した分析によれば、「カスタム開発を加速するためにパッケージ化されたソフトウェアコンポーネントやフレームワークを使用するのは、特に手法として新しいわけではない。(中略)新型コロナウイルス危機の初期段階に、開発プラットフォームベンダーがソリューションプロバイダーとして素早く対応したことは、将来、事前規定型(prescriptive)ローコードプラットフォームの台頭を象徴する出来事だったと考えられるようなるだろう」と述べている。(レポートはUltimusから無料でダウンロードできる)
重要なのは「事前規定型」の部分だ。これらのプラットフォームは単なるツールではなく、エンタープライズアプリケーションを構成し、組み立てるための業務のコンポーネントを、視覚的に表現された「レゴブロックのような」形であらかじめ提供している。レポートでは、「これらは、請求書の処理、台帳、タイムシートやスケジュール、新入社員対応などの業務を管理するビジネスコンポーネントとして業務を抽象化している」と述べている。
とはいえ、Bratincevic氏らが警告しているように、ローコード開発やノーコード開発の進歩は、ベンダーがどこまで進めようとしているかに依存している。同氏らが述べているように、「事前規定型のローコード開発を推進しているのは、主に顧客の深い関与を必要とする小規模なベンダーだ。そして、ベンダーは事業ドメインと開発プラットフォームの両方に関して高い専門性を持っている必要がある」といった難しさもある。
「ローコード開発」や「ノーコード開発」は、さまざまな意味で、永遠に「あと数年で実現する」ものであり続ける存在だ。Capgeminiの最高技術責任者(CTO)であるSteve Jones氏は、最近投稿した記事で、「IT部門の開発者の数は増え続けており、今後も増え続けると予想されている。ノーコード開発が本当に実現可能であれば、こんなことが起こるはずはない」と述べている。