海外コメンタリー

テクノロジーの多様性がIoT市場の成長を加速する--2021年展望

Michele Pelino (Forrester Research) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2020-12-10 06:30

 企業や従業員は、コロナ禍によって、仕事の面でも個人の生活の面でも以前よりテクノロジーに依存するようになった。2021年には、ネットワーキング技術の多様性の高まりを背景に、コネクテッドヘルスケアやスマートオフィス、リモートからの設備監視、位置情報サービスなどの分野で、モノのインターネット(IoT)を活用した新しいアプリケーション、技術、ソリューションに対する需要が高まっていくだろう。

 Forrester Researchは、2021年に次のようなことが起こると予想している。

  • ネットワーク接続市場の秩序が乱れる。ITリーダーは、無線接続の選択肢の多さに悩むことになるだろう。Forrester Reserchは、企業が混沌とした無線通信市場に対する理解を深めるにつれて、5GやWi-Fiを導入する取り組みは、2020年の水準よりも勢いが落ちると予想している。今では、「Starlink」の400基以上の低軌道衛星が衛星通信サービスを提供するようになっており、長距離接続市場における補完的な選択肢になっている。2021年には、衛星通信やその他の低電力通信技術に対する関心が20%増えるだろう。
  • コネクテッドデバイスのメーカーが医療分野での利用事例に力を入れるようになる。2020年には、多くの人が自宅内にとどまり続けた結果、慢性疾患が管理されていない状態で放置されたり、がんが発見されなかったり、予防可能な症状が発見されなかったりする事態が生じた。2021年には、ウェアラブルデバイスやセンサーを使って、在宅で患者の健康状態を調べるプロアクティブなエンゲージメントが活発化すると予想される。在宅でのモニタリングの利便性や、自分の健康に関する情報、コネクテッドヘルスデバイスの価格低下などに対する人々の評価が高まるにつれて、消費者のデジタルヘルスデバイスに対する関心は高まっていくだろう。
  • スマートオフィスに対する取り組みによって従業員体験の変革が加速する。2021年には、コロナ禍の影響で、一部の企業が費用のかかるオフィス用不動産を手放すだろう。しかしForrester Researchは、少なくとも企業の80%が、包括的なオンプレミスの職場復帰戦略を策定すると予想している。この戦略には、IoTを使用した従業員の安全性向上策や、スマート照明、エネルギー消費や環境のモニタリング、センサーを利用した空間利用効率の向上などによる資源効率の改善、行き来が激しいエリアの積極的な監視などが含まれる。
  • コネクテッドデバイスの遍在がようやく従来のビジネスの破壊的変革を引き起こす。2020年には、製造業、流通、公益事業、製薬業などの企業でリモート運用への切り替えが行われ、これまでは接続されていなかった設備が接続され始めた。このコネクテッド設備のアプローチによって、リモートにいる専門家による、長期間にわたる操業停止や経費のかかる出張なしに行う修理への依存度が増している。2021年には、フィールドサービス企業や産業分野のOEM企業が、ネットワークに接続された設備や機械に対する顧客の需要に応じるために、積極的な取り組みを進めるだろう。
  • 消費者や従業員の位置情報が利便性向上の鍵になる。新型コロナウイルスの流行によって、顧客や従業員に利便性の高い体験を提供するにあたっての位置情報の重要性が高まった。2021年には、企業が顧客や従業に仮想的な待ち行列や、注文品の店舗受け取り、予約サービスなどを提供する際の利便性を高めるために、位置情報を活用しなければならなくなる。位置情報を有効に利用するには、技術パートナー企業や、消費者が信頼し、コントロールしているサードパーティーの位置情報提供事業者との協力が必要になるだろう。

 2021年に重要なビジネスとテクノロジーのトレンドを把握するための、Forresterによる「2021 Predictions Guide」の電子ブックはダウンロード可能になっている。

 本稿はForrester ResearchのプリンシパルアナリストのMichele Pelinoが執筆した。Forresterのサイトにオリジナルの記事がある。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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