Donald Trump大統領は米国時間12月3日、連邦政府機関の人工知能(AI)利用に関する国民からの信頼を得るための取り組みの一環として、政府におけるAI利用の指針を示す大統領令に署名した。
この大統領令では、AIの設計や開発、調達、利用の際に連邦政府機関が従うべき9つの原則が示されている。それは、(1)合法的であり、(2)目的が明確で成果が期待でき、(3)正確で信頼できるとともに高い効率性を兼ね備えており、(4)安全かつセキュアでレジリエンスを備えており、(5)理解可能であり、(6)責任が明確であるとともに追跡可能であり、(7)定期的に評価されており、(8)透明性があり、(9)説明責任を果たせるようになっているというものだ。
これら原則の実装に向け、同命令は米行政管理予算局(OMB)に対して、AI利用に関する政府のサポートを向上させる計画のロードマップを180日以内に作成するよう命じている。このロードマップには、国民とのエンゲージメントのためのスケジュールや、関連する政策指針の確定に向けたタイムラインが含まれている。
同命令は政府機関に対して、業界の参加によって作り上げられた自主的な合意基準を使い続けることも求めている。
Trump大統領は声明で「この命令はAIの可能性に光を当て、例えば時代遅れの、あるいは重複した規制を削減したり、連邦政府の情報システムにおけるセキュリティを向上させたり、アプリケーションプロセスの合理化を実現したりすることで連邦政府の業務を改善していこうというものだ」と述べた。
連邦政府機関はAI関連のユースケースを洗い出すとともに、それらユースケース間の整合性に関するレビューや評価を実施するよう求められる。
米共通役務庁(GSA)は、「米大統領府イノベーションフェローズ」(PIF)プログラムの枠組みの中で、政府内でのAIの設計や開発、調達、利用を促進するために政府機関内で働く専門家らを産学双方から招き入れるよう求められている。
Trump政権はAIに関するさまざまな取り組みを進めており、11月には米国内で開発されたAIアプリケーションの規制に関する指針を発表した。
この指針の背景には、連邦政府機関は「AIのイノベーションや成長を阻害する」規制や規則を導入するべきではないという考えがある。
同指針には「特定の識別可能なリスクに取り組む、対象を絞った、そして現時点での実態に基づいた規制によって、米国企業が世界で戦っていくだけの環境は維持できるものの、各機関は著しく高い制約を要求する予防的アプローチを避け、社会がAIシステムのメリットを享受できないような、あるいはAIイノベーションにおける世界のリーダーたる米国の地位を弱体化させるような事態を避けなければならない」と記されている。
Trump大統領は2019年2月にも、米国におけるAI開発の高速化とAIの規制を目的とした大統領令に署名している。
この大統領令により「American AI Initiative」という取り組みが立ち上げられた。これは、連邦機関によるAIの研究開発に対する投資の促進、研究者によるAI関連情報へのアクセスの拡大、AIを管理する基準の策定、AI関連の技術者の養成、AIの研究開発を促進する国際環境の構築を目的としている。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。