本記事は楽天証券が提供する「トウシル」の「TOP 3分でわかる!今日の投資戦略」からの転載です。
今日のポイント
- 外国人投資家の買いで急騰した日経平均
- 外国人から見ると、日本株は、世界景気敏感株
- 世界景気の回復が続くならば、外国人の買いはさらに増加すると予想
これら3点について、楽天証券経済研究所長兼チーフストラテジストの窪田真之氏の見解を紹介する。
外国人投資家の買いで急騰した日経平均
先週の日経平均株価は、1週間(11月30日~12月4日)で106円上昇し、2万6751円となった。上昇の勢いはやや落ちたが、それでも29年ぶりの高値更新が続いている。
11月には、外国人投資家が2兆3802億円も日本株を買い越し(株式現物・日経平均先物の買越額合計)、日経平均を15%も急騰させた。12月に入ってからもまだ外国人の買いは続いているようだ。
以下、2020年の日経平均の動きと、外国人の売買動向(株式現物・日経平均先物の合計)をご覧いただきたい。
日経平均と外国人の売買動向(買越または売越額、株式現物と日経平均先物の合計):2020年1月6日~12月6日(外国人売買は11月27日まで)

注:東京証券取引所データより楽天証券経済研究所が作成。外国人の売買動向は、株式現物と日経平均先物の合計
日本株の最大の買い手は日本銀行だが、それでも、日経平均の値動きを決めているのは、日本銀行ではない。外国人投資家だ。外国人は、買う時は上値を追って買い、売る時は下値を叩いて売る傾向があるので、短期的な日経平均の動きはほとんど外国人によって決まる。
日経平均が急騰する時や新高値を更新する時の買い主体は、いつも外国人だ(まれに例外あり)。反対に、日経平均が急落する時や新安値を更新する時の売り主体も、いつも外国人だ(まれに例外あり)。外国人が売れば下がり、買えば上がる傾向が、過去30年(※注)続いている。
上のチャートを見れば分かる通り、2020年も日経平均の急騰あるいは急落は外国人が引き起こしている。ただし、1カ所だけ例外がある。3月後半~4月にかけての日経平均急反発局面だ。外国人の売りが続いている中で、日経平均が急反発している。ここで日本株を買ったのは、日本銀行などの国内投資家だった。
2020年3月後半~4月のように、外国人の売買と反対方向へ日経平均が大きく動くのは、過去30年で見ても、極めて珍しいことだ。過去30年で、外国人売買と逆方向に大きく日経平均が動いたのは、2020年3月後半~4月のほかでは、1回しかない。2011年3月だ。2011年3月11日に東日本大震災が起こった直後、日経平均は16%も急落したが、それは国内投資家の売りによるものだった。その急落局面で外国人投資家は日本株を買い越していた。