「Mac」上でアプリを作成する必要がある開発者は、「Amazon Web Services(AWS)」によって、仮想的に可能になった。Amazonは先ごろ、「Amazon Elastic Compute Cloud(EC2)」を介して、AWS上でmacOSインスタンスを利用できるようになったと発表した。「Mac mini」上で実行されるこの新たな仮想環境により、AWSユーザーは、「macOS」上でアプリを構築、テスト、パッケージ化するためのインスタンスをオンデマンドで実行できるようになる。開発者はEC2で、AWSのスケーラビリティーと従量課金制を利用して、「iPhone」、「iPad」、Mac、「Apple Watch」、「Apple TV」、「Safari」向けのアプリを設計することができるようになる。
EC2 Macインスタンスは、Intelの第8世代3.2GHz(4.6GHzターボ)「Core i7」プロセッサー、物理コア×6、論理コア×12、32GiBメモリーを搭載したMac miniコンピューターのアレイ上でホストされる。
Amazonの「AWS Nitro System」により、最大10Gbpsの「Virtual Private Cloud」ネットワーク帯域幅と8Gbpsの「Elastic Block Store」ストレージ帯域幅が高速「Thunderbolt 3」接続を通じて提供される。この設定により、他のAmazon EC2インスタンスと同様に、完全に統合および管理されたインスタンスとしての動作が可能になっている。
ベアメタルインスタンスサイズ(mac1.metal)で利用できるEC2 Macインスタンスは、「macOS Mojave 10.14」および「macOS Catalina 10.15」をサポートしており、Amazonによれば、「macOS Big Sur 11.0」も近日中にサポートされる予定。AWSユーザーは、コマンドラインインターフェース(CLI)ではSSH、グラフィカルインターフェースではVNCクライアントを使ったアクティブなリモート画面共有を通じて、これらのMacインスタンスに接続できる。
Appleは、さまざまな製品のためにアプリを設計したいと考える開発者を引きつけていることから、開発者に必要なリソースを提供する必要性がますます高まっている。開発者はオンプレミスでMacのハードウェアやソフトウェアを設定して保守する代わりに、新たなAWSインスタンスを利用することでアプリ自体に集中できるようになる。個人や組織は、macOSの仮想環境にアクセスすることで、アプリの構築やテストをより速くできるようになる。
「これらのインスタンスを使って、Appleの全環境を対象としたビルドファーム、レンダーファーム、CI/CDファームを作成できる」と、AWSのチーフエバンジェリストであるJeff Barr氏は、この新たな環境の使い方を説明するブログ投稿で述べている。「新たなインスタンスを数分で設定できるため、自身のハードウェアを所有したり操作したりすることなく、複数のターゲットに対応したコードを迅速に、費用効率良く構築できる。利用した分を支払うだけで、EC2が提供する柔軟性、スケーラビリティ、セキュリティ、信頼性から恩恵を受けることができる」(Barr氏)
EC2 Macインスタンスは現在、米国東部(バージニア州北部)、米国東部(オハイオ州)、米国西部(オレゴン州)、EU(アイルランド)、アジア太平洋地域(シンガポール)のAWSリージョンで、最低24時間のホスト期間が割り当てられた「EC2 Dedicated Hosts」として利用できる。ユーザーはインスタンスをオンデマンドで購入するか、「Savings Plans」(1年または3年プラン)の一部として購入することができる。新たな環境を試してみたいAWSユーザーは、Amazonの「EC2 Mac Instances」ページから利用開始できる。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。