IBMは、「IBM Watson」の自然言語処理(NLP)機能を強化している。これには、「Reading Comprehension」(文章理解)や、「FAQ Extraction」(FAQ文書からの適切な質問と回答の抽出)、新たな言語のサポート、新たな意図分類モデルが含まれている。

Reading Comprehension(文章理解)
同社は、NLP能力を強化し、自動化のワークフローにおいてより大きな役割を果たせるようにするための新機能について概説している。同社は、Watsonを用いたNLP研究の取り組みで差別化を追求してきた。同社は最近、「Project Debater」の主要なテクノロジーの商用化を発表している。
主な機能は以下の通り。
- Reading Comprehension(文章理解)は、IBM ResearchのQAシステムをベースとしている。現在「IBM Watson Discovery」でベータ版となっている。膨大な量の複雑な企業の文書からの、自然言語クエリーに対するより正確な回答を特定できるようにする新機能として計画されている。
- FAQ Extractionは、IBM Researchによる新しい自然言語処理技術を利用し、FAQ文書からの適切な質問と回答の抽出を自動化する。「IBM Watson Assistant」の検索機能でベータ版として提供されている。
- 新たな意図分類モデルはIBM Watson Assistantで利用可能になっている。ユーザーと同アシスタントのやり取りを向上させる。
- IBM Watson Discoveryで、新たに10の言語(ボスニア語、クロアチア語、デンマーク語、フィンランド語、ヘブライ語、ヒンディー語、ノルウェー語:ブークモール、ニーノルスク、セルビア語、スウェーデン語)をサポートしている。
また、IBMは2021年を通じて、IBM Researchの「Watson Studio in Cloud Pak for Data」で「AI Factsheets」を商用化する計画だ。AI Factsheetsは、製品の性質に関する情報を提供するためのものだ。
IBMのクラウドおよびコグニティブソフトウェア担当最高データ責任者(CDO)Seth Dobrin氏によると、AI Factsheetsは「AIがどういったことを実行しているのかを理解するためのAIのための」栄養表示ラベルのようなものだという。
EYの最高イノベーション責任者であるTony Qui氏によると、同社はM&Aに向けたデューディリジェンスのプロセスでWatsonを活用しているという。Watsonはこのプロセスで、企業価値評価に影響を与えるすべての要素をデータクリーンルーム内で洗い出すために、極めて膨大な量のドキュメントをインジェスト、スキャンしている。
この機能はEYのAIプラットフォーム「EY Diligence Edge」の一部となる。
Qui氏は、「Watsonを用いることで、製品のリコールや情報漏えいといった物事を見つけ出すとともに、そういったものがわれわれのM&Aにどのように影響するのかについて判断できるようになる。このため、ドキュメントのオープンやクローズではなく、デューディリジェンスや分析により多くの時間をかけられる」と述べた。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。