松岡功の一言もの申す

政府は全国民をDX人材にする方策を考えよ

松岡功

2020-12-17 11:00

 政府の「デジタル庁」創設に向けた基本方針の内容が明らかになってきた。本連載ではこの半年で4度、政府のデジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みに対して直言してきたが、2020年もあと2週間となった今回、スケールの大きな5度目の直言を申し上げたい。

デジタル庁は500人規模で2021年9月1日に発足

 「政府は全国民をDX人材にする方策を考えよ」――。これが5度目の直言である。「それは無理」「何と無謀な」と思われた読者も少なくないだろう。だが、筆者は至って真剣だ。こう言いたくなった理由も挙げてみると4つあった。今回はこの5度目の直言について訴求したい。

 政府はデジタル庁について、非常勤職員を含め500人規模の組織を2021年9月1日に発足させる構えだ。これとともに、国家公務員採用試験でDX人材向けの新たな試験区分を2022年度に創設する動きも浮上した。つまり、国家公務員において採用の段階からDX人材枠を設けてしっかりと確保しようというわけだ。ならば、いっそのこと全国民を対象に、DX人材の育成に乗り出してはどうか。こう思ったのが、今回の直言の1つ目の理由である。

 また、政府のDX推進役を担うデジタル改革担当大臣の平井卓也氏が先頃、NECがオンラインで開催した講演イベントのキーノートで語ったことも今回の直言の2つ目の理由だ。同氏はデジタル庁の創設について、「デジタル庁を要として行政のDXを進めていけば、やがては日本の社会も大きく変わっていく」と述べた(写真1)。

写真1:デジタル改革担当大臣の平井卓也氏
写真1:デジタル改革担当大臣の平井卓也氏

 さらに同氏のスピーチで印象深かったのは、「人間を中心に全てを見直すこと」をDX推進のポイントとして挙げた点だ。この人間を中心に全てを見直すことを「国民目線」とも表現し、「デジタル庁は国民目線だと、国民の皆さんに信頼してもらえるようになることが、行政のDXを押し進める決め手にもなる」と強調した。

 冒頭で述べたように、本連載においてこの半年で4度、政府に対してもの申してきたことも、今回の直言の3つ目の理由として挙げられる。直近からさかのぼる形でタイトルを紹介しておくと、11月19日掲載の「マイナンバーカードの普及は加速するか?―平井大臣の発言から読み解く」、9月24日掲載の「IT用語は丁寧に説明を―平井大臣への要望」、9月17日掲載の「新政権は行政のDXを強力に押し進めよ」、6月11日掲載の「政府は最強のタスクフォースを組んで行政ITの強化を急げ」――である。

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