CloudLinuxが「CentOS」の代替目指すプロジェクト「Lenix」--年間100万ドル超投資へ

Steven J. Vaughan-Nichols (ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2020-12-17 14:54

 CentOSプロジェクトは先週、「『Red Hat Enterprise Linux』(RHEL)のリビルド版であるCentOS Linuxから、最新版のRHELの少し先を先行する『CentOS Stream』に重心を移す」と発表した。これを受け、CentOSプロジェクトの共同創設者であるGregory Kurtzer氏はその後間もなく、CentOSの代替となる新たなRHELクローンを開発する新プロジェクト「Rocky Linux」を発表している。さらにCloudLinuxも、新しいRHELのフォークを開発する「Project Lenix」を立ち上げ、支援すると宣言した。CloudLinuxは、このプロジェクトに年間100万ドル(約1億1000万円)以上を投じる計画だ。

 CloudLinuxの最高経営責任者(CEO)で創業者のIgor Seletskiy氏は、その理由をこう説明する。「Red Hatの発表により、CentOSユーザーは混乱なく移行できる代替となるディストリビューションを探さなければならなくなった。当社はProject Lenixに必要なリソースを投入し、Project Lenixを公平で非営利のコミュニティイニシアティブとして推進することを約束する。当社にはこのミッションの遂行に必要な資産、インフラ、経験がある。Project Lenixの開発はオープンに進めることを約束する」

 CloudLinuxは、CentOSをベースにした「CloudLinux OS」の開発元だ。CloudLinux OSは、マルチテナンシーウェブやサーバーホスティング会社向けの主要なプラットフォームで、サーバーの安定性やセキュリティの向上を実現している。

 CloudLinuxは、10年にわたってデータセンターやホスティング会社向けに強化されたCentOS Linuxを構築してきた経験をもとに、エンタープライズインフラ、カーネル開発、オープンソースソフトウェアに関する専門知識をクライアントに提供している。CloudLinux OSは20万を超える製品に搭載され、Liquid Web、1&1、Dellを含む4000の顧客を有する。

 Project Lenixはコミュニティ主導のフリーなオープンソースプロジェクトとして、「RHEL 8」以降と1:1のバイナリー互換となるフォークを開発していく予定だ。CloudLinuxはCentOSのユーザーがダウンタイムも再インストールもなく、既存のCentOSサーバーから切り替えられるようにすると約束している。CentOSサーバー群全体を、再インストールも再起動もなく、コマンド1つで移行できるようにするとしている。大胆な宣言だが、同社はすでに同じことを商用Linuxディストリビューションで実現している。となれば、同社ができるというならできるに違いないと筆者は考えている。

 Lenixは仮の名称であり、Redditに集結しつつあるメンバーを中心にガバナンス委員会が発足したのち、このディストリビューションの正式な名称が決定するようだ。順調にいけば、2021年の第1四半期に最初のリリースが登場する予定だ。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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