人工知能（AI）ソフトウェアの市場規模はどの程度なのだろうか？Forrester Researchは、新たに実施した調査で、AIソフトウェア市場の規模は2025年に370億ドル弱まで拡大すると予想した。これは大きな数字ではあるが、多くの投資家やアナリストの予想よりも小さい。しかしForrester Researchは、2つの理由からこの予想は現実的だと考えている。
第1の理由は、多くのビジネスアプリケーションに、収益化の手段がないAI機能が追加されていることだ。そして第2に、企業が社内で使用するために作ったカスタムメイドのAIアプリケーションは、AI市場に計上される売上高を生まないことが挙げられる。AIソフトウェア市場を理解したい、あるいは投資したいと考える投資家やベンダー、調達担当者は、Forrester Researchが定義した4つのセグメントを理解しておくべきだろう。その4つとは、AI作成プラットフォーム、AIファシリテータープラットフォーム、AI中心アプリケーション、AI組み込みアプリケーションだ。
3つのポイント
- Forrester Researchは、AIソフトウェアの4つのセグメントを定義した。1）汎用のAIアルゴリズムやデータセットを使用するためのAI作成プラットフォーム、2）コンピュータービジョンなどの特定のAI機能を提供するAIファシリテータープラットフォーム、3）医療診断などの特殊なタスクを処理するAIを中心に構成された、AI中心のアプリケーションとミドルウェアツール、そして4）アプリケーションやツールの既存のカテゴリーに、高度なAIを組み込むことで差別化を図ったAI組み込みアプリケーションおよびミドルウェアツールだ。最大のセグメントはAI作成プラットフォームとなり、2025年には130億ドル規模まで成長すると見込まれている。新しいセグメントである、医療診断やリスク検出ソリューションなどのAI機能を中心に構成されたAI中心アプリケーションは、2番目に規模が大きいセグメントで、2025年には100億ドル弱の規模になる。
- 2020年にはコロナ不況の影響でAIソフトウェア市場の成長が鈍化したが、2024年以降にも再び鈍化する。ソフトウェア市場全体の状況と同じように、2020年にはAIのプラットフォーム、アプリケーション、ツールに対する需要も減速した。需要の伸びは2021年には回復し、2023年まではその水準が続くだろう。しかし、AIがあらゆるソフトウェア製品に組み込まれ、ベンダーの差別化要因にならなくなり、プレミアム的な価値もなくなる2024年には再び成長が鈍る。実際、プレミアム価格が付いているAIを組み込んだアプリケーションやツールの売上高は、2023年以降縮小すると予想される。
- AIは今後もソフトウェアに組み込まれていく。ソフトウェアが速やかにビジネスの基盤になったのと同じように、AIも速やかにソフトウェアの基盤になりつつある。その結果、既存のソフトウェアベンダーによって、既存のソフトウェア製品にAIソフトウェアが組み込まれることが増える。企業は、AIプラットフォームやAIファシリテーターのツールを使って自前でAI機能をカスタム開発するよりも、それらのソフトウェアベンダーからAI機能を調達する方が合理的だと考えるようになる。その結果、AIプラットフォームやAIファシリテーターの売上高に占める、アプリケーションソフトウェアベンダーの割合が大きくなるだろう。最終的には、アナリティクスや、ワークフローや、データと同じように、AIもソフトウェア製品のあらゆる部分に入り込んでくるはずだ。
2021年に重要なビジネスとテクノロジーのトレンドを把握するための、Forresterによる「2021 Predictions Guide」の電子ブックはダウンロード可能になっている。
本稿はForrester Researchのバイスプレジデント、プリンシパルアナリストのAndrew BartelsとMike Gualtieriが執筆した。Forresterのサイトにオリジナルの記事がある。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
