本記事は楽天証券が提供する「トウシル」の「TOP 3分でわかる!今日の投資戦略」からの転載です。
今日のポイント
- 米国市場では新年もコロナ緩和相場が続きそう
- ナスダック、S&Pともに2021年は増益ベース
- 流動性相場はグロース株に、業績相場はバリュー株に有利
- 2021年も注目:10万円以内で投資できる米国籍ETF
これら4点について、楽天証券経済研究所チーフグローバルストラテジストの香川睦氏の見解を紹介する。
米国市場では新年もコロナ緩和相場が続きそう
米国株式は11月以降の堅調相場を経て年末を高値圏で迎えそうだ。大統領選挙後の当選確実を巡る安堵(あんど)感とワクチン実用化に伴う経済正常化期待が好材料となったが、株高のエンジンは金融緩和環境だ。
図表1は、FRB(米連邦準備制度理事会)の総資産(バランスシート)とS&P500指数の推移を示したものだ。
2008年の金融危機直後と同様、FRBは今春のコロナ危機でも景気対策として量的緩和を急拡大した。預金や債券の実質利回り(インフレ期待を差し引いたリターン)がマイナス圏で推移する中、当局は約1200億ドル(約12兆4000億円)規模の債券(国債800億ドル+住宅ローン担保証券400億ドル)を毎月買い入れている。
FRBの総資産は約7兆3000億ドル(約756兆円)に膨らんでいるが、景気回復が確実になるまで当局は緩和姿勢を維持する方針だ。コロナの影響がある限り、潤沢なリスクマネーが米国株式を支える流動性相場(金融相場)はしばらく続くと考えられる。
一方、企業業績の見通しは底入れしつつある。S&P500指数ベースの12カ月先予想EPS(市場予想平均)の12カ月累計実績EPSに対する伸び率で見込む予想増益率は25%超だ。業績見通しを巡っては「市場はバックミラー(過去)よりフロントガラス(先行き)を見ている」との説を重視している。
短期的な調整を消化しながら、2021年末までにS&P500指数は4000、同時期にダウ工業株30種平均は3万3000ドルを目指す堅調トレンドを見込んでいる。
<図表1:コロナ緩和相場を支えるFRBの総資産拡大>

*米国株の破線部分はイメージ
出所:Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2007年初~2020年12月23日)