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2021年、自治体のDXはどうなるか--NECの取り組みから探る - (page 2)

松岡功

2021-01-07 07:00

今後浮上してきそうな政府と自治体のガバナンスの問題

 また、住民情報システムと連携するNECスマート行政窓口ソリューションの強化点については、次の2つを挙げている。

 1つは、「自治体間における転出証明書情報のデジタル連携機能」だ。従来、引っ越しの際、住民は自治体の窓口に手書きの異動届と転出証明書を提出し、職員は紙の書類で処理していた。このソリューションでは、住民記録システム標準仕様書で新たに定義された、今後転出証明書に印字されるQRコードを利用することで、転出情報を自治体間でデジタル情報としてやりとりし、転入先自治体の住民情報システムに反映できる。これにより、職員の作業時間や住民の待ち時間を最大で5割短縮できるとしている。(図1

 もう1つは、「マイナポータルと連携した市民向け申請手続き案内サービス機能」だ。住民向けサービスとして、マイナポータルの自己情報開示機能と連動して申請手続きを案内する仕組みを新たに開発する。マイナポータルの自己情報開示機能は、自治体や国の行政機関などが保有する自身の個人情報を取得することができる。本人同意のもと、自治体がこの機能を活用し、住民から自己情報の提供を受けることにより、所得情報などの個人情報を判断基準とするような複雑な申請でも、住民に対して適切に案内することが可能となる。

 以上が発表の概要だが、今回この製品を取り上げたのは、自治体の基幹系システムである住民情報システムのありようが今後大きく変わる可能性がある中で、この分野をリードするベンダーの1社であるNECが、今後の取り組みについて公表したことが非常に興味深かったからだ。

 NECがこうした取り組みを行う背景には、従来、自治体の住民情報システムは各自治体で独自に構築し、維持と管理、制度改正対応なども個別に対応しており、財政的、人的な負担が大きな課題となっていることがある。また、帳票様式も各自治体で異なることから、それらを作成、利用する住民や企業に対しても大きな負担が生じており、自治体の行政手続きのデジタル化に向けた住民情報システムの標準化、共通化が求められている。

 一方、ここにきて注目すべきは、政府によって自治体システムの仕様を統一しようという動きが俄然高まっていることだ。前述のGov-Cloud(仮称)は、かねて「自治体クラウド」と呼ばれてきた側面もあるが、これを自治体で共通利用できるようにしてコスト削減と業務効率化を図ろうという狙いだ。ただ、現状では自治体がIT予算を執行、管理しており、資金をはじめとした政府と自治体のガバナンスの問題が大きく浮上してくるだろう。

 今回のNECの取り組みは、そうした動きもにらみながらの製品開発といえそうだ。この分野の動きは、いわば「日本のDXの縮図」だと筆者は捉えている。まずは、2021年の動きを大いに注目していきたい。

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