FaceTime世代が選挙権を獲得
デジタルネイティブ世代が成人を迎えるのは朗報だ。1980年代と1990年代に生まれた子どもたちは、もはや子どもではなく、彼らはますます主導権を握っており、われわれはこうした移行を促すべきである。
かつてテクノロジーを恐れていたであろう年長者たちは、必要不可欠なサービスや利便性が蓄積される中で、これまで以上にテクノロジーを取り入れている。食料品の注文やオンラインショッピング、子や孫との「FaceTime」、AIアシスタントの利用、「Uber」の活用などに加えて、数多くのデジタル行動を加速させた新型コロナウイルスのパンデミックもあり、潮の流れは今や大洪水になっている。
セキュリティと透明性のトレードオフ
セキュリティは今後、最も重要な要件となる。筆者が列挙した一般的なアクティビティはいずれも、利用をためらうほど怖いものではないにせよ、セキュリティとプライバシーの重要な懸念を抱えている。
われわれの民主主義はクレジットカードよりも重要なものであり、大切に取り扱う必要がある。有力なセキュリティプロフェッショナルは皆、民間セクターに所属しているため、官民の協力体制は必要不可欠である。
いずれにせよ、政府が何らかのシステムをゼロから作る必要はないし、われわれもそれを望んでいない。優れた検証システムでは不十分であり、人々がシステムを信頼する必要がある。そのためには、セキュリティのみならず、この数十年間で低下している、公共セクターの透明性や信頼度を高める必要がある。
米国の大統領が選挙の公平性を疑うデマ情報を拡散する中、デジタル政治に対してやみくもな信仰を求めるのは、タイミングが悪いと感じる方もいるだろう。
しかし、筆者が主張したいのは、クリーンで透明なシステムの構築が、ますます重要になっていることである。すべての人の意見は尊重されるべきだが、民主主義の最も基本的な構成要素である選挙への信頼については、意見の相違に左右されるべきではない。
この記事はAvastのブログを翻訳、編集したものです。
- Garry Kasparov
Human Right Foundation理事長
1963年旧ソ連アゼルバイジャン生まれ。現在はニューヨーク市在住。2005年からロシアの民主化運動を展開している。オックスフォード大学マーティンスクールの客員フェローとして、人と機械のコラボレーションを中心に講義を担当。ビジネスや学問、政治の領域を対象に意思決定、戦略、テクノロジー、人工知能をテーマとした講演活動を続けている。政治、認知、テクノロジー分野での執筆活動は大きな影響力を持っており、世界中の主要出版物で数多く取り上げられている。2016年にAvastのセキュリティアンバサダーに就任した。