東京ドームでは、望月氏も含めてほぼ初心者がkintoneを利用。難しいことはしたくないと思っていたという。自分たちで運用していく必要もあるため、アプリ開発やプラグインだけでなく、運用や業務改善を含めた提案をした、ミューチュアル・グロースを選んだという。

ミューチュアル・グロース セールスプロモーション部 部長 澤田周五郎氏
「具体的に『このアプリを作ってください』というお話ではなく、今困っている状況にどうアプローチしていくべきかというご相談でした。当社は、開発のみにフォーカスせず、運用面での検証や開発したアプリへのフィードバックを適切に反映することが重要だと考えています。kintoneは運用しながらお客様自身でも改善がしやすいツールですので、今回のご要望には最適であったと思います。後は、個人的な話になりますが、学生の時に東京ドームのイベントスタッフをやっていたことがありまして、思い入れがあります」と澤田氏は笑った。
まずは申請業務をデジタル化
出展者の管理業務は、出展者からの申し込みがあり、審査を通った出展者からの正式な申請、精算という3ステップがあるが、まずは一番大変な申請業務に着手した。
以前の申請業務では、出展者に申請書類を手書きで記入してもらい、郵送やファクスでやりとりしていた。申請書類が届いたかどうか、申請情報の不備の連絡などには電話を活用。申請資料のデータはアルバイトがExcelに手入力していた。恐ろしくアナログな作業なうえ、これが1000社分あるのだから、時間がいくらあっても足りないのは当然だ。
ミューチュアル・グロースはトヨクモ(品川区、旧サイボウズスタートアップス)が開発、販売するkintone連携サービスを提案し、この部分をkintone化したのだ。ウェブフォームからkintoneにデータを入力できる「フォームブリッジ」とkintoneアプリのデータをウェブ上で確認できる「kViewer」、kintoneと連携するメール送信システム「kMailer」を組み合わせ、システムを構築した。

kViewerで出展者ごとのマイページを作成した
kViewerで出展者ごとのマイページを作り、フォームブリッジで申請情報を入力してもらった。出展者への連絡はkMailerで一発送信できる。さらに、保健所へ提出する資料はソウルウエア(豊島区)が開発、販売する帳票出力プラグイン「RepotoneU」で手軽に帳票化できるようにした。
このおかげで、大幅なペーパーレス化を実現。イベントにもよるが、6~9割もの紙を削減することができたとしている。加えて、紙を見ながらのデータ入力という作業もなくなったことも大きい。手が空いた分新しい企画に着手しており正確な数字ではないものの、kintoneの導入で1人当たり月数十時間もの残業を減らすことができたという。
従来は、申請情報の修正をファクスで受け取っていたため、週明けにファクスが散乱、どれが最新か分からず、古い情報のまま処理が進んでしまうことがあったそう。kintone化でそんなトラブルもなくなり、出展者の約8割もとてもよくなったと評価してくれているそうだ。

紙の申請をウェブ上で行うことによりペーパーレス化を実現