月桂冠は、オージス総研と共同で日本酒の飲みくらべを推奨するAI(人工知能)診断アプリ「サケクラ」を開発した。
このアプリは利用者が日頃の酒との関わりなどについての3つの質問に答えることで、AIにより診断された飲みくらべにお勧めの日本酒2種類の組み合わせを提案する。オージス総研が提供する「行動観察」手法を用いて洞察した利用者のニーズをもとにして、AI技術の活用を含めたアプリの企画デザイン・開発(UXデザイン、システムおよび機械学習によるモデリングの設計)を進めて完成させた。

アプリを利用しているところ
月桂冠は「月桂冠大倉記念館」(京都市伏見区)の売店で、2020年9月に18日間かけて実証実験を実施、アプリ体験の有無やアプリが提案したお勧めの日本酒と、顧客が実際に購入した商品とを比較し、アプリ体験と顧客の日本酒選びとの相関を検証した。
その結果、アプリを利用することで、日本酒の飲みくらべを知るきっかけとなり、さまざまな日本酒を楽しむ機会の提供に資することが分かった。
AI診断で導き出された商品の購入率は5倍、飲みくらべ2種類のセット購入率は10倍となり、また、アプリを利用しない人と比較して顧客ごとの購入金額は1.2倍となった。さらにアプリを体験した人からは、「自分では目に付かなかった商品をお勧めされて、興味が出た」「普段あまり日本酒は飲まないが、友人と1本ずつ購入して一緒に飲みくらべたい」などの声が寄せられたという。