突貫工事で構築したテレワークの見直しで考えるべき6つのポイント - (page 2)

宮澤敏明 (シトリックス・システムズ・ジャパン)

2021-01-20 06:30

4.集中力を低下させない働き方の実現

 ワークスペースで集中力が低下することは、セキュリティの問題というよりも、デジタルウェルネスの問題のように思えるかもしれません。しかし、テクノロジーの情報量に押され、注意力が散漫になっている従業員は、セキュリティやプライバシーに関する判断を誤ってしまう可能性が高くなります。

 例えば、毎週自由時間を確保するためミーティングを廃止する、通知をオフにさせるなど、従業員の集中力を遮る要素を減らす方法を探してみましょう。また、従業員の普段行う承認やスケジュールの承諾を人工知能(AI)に任せる自動化技術を検討するのも有効です。

5.物理的なワークスペースを改善する

 何カ月もテレワークをしていると、自分で自宅オフィスをデザインすることにワクワクしている従業員もいれば、同じ空間に閉じ込められていると感じる人もいます。

 今こそ、従業員にとって、自身のワークスペースを人間工学的に見直し、最高の仕事と健康のための環境が整っているかを確認する絶好の機会です。家具の配置を変えてデスクに自然光が入るようにしたり、部屋の隅にダンベルを置いてエクササイズをしてみたり、新しいオフィスチェアを購入して快適な座り心地を手に入れたりするのもいいかもしれません。

6.セキュリティを向上させるためにポジティブな方法を探す

 誰も望まなかった混乱に満ちた1年の後、2021年は、慣習的なセキュリティを劇的に変えるポジティブな方法を採用するチャンスです。新しいセキュリティやプライバシー技術のトレーニングは、データの安全性を維持するのに役立つだけでなく、組織のセキュリティ戦略を構築する上でも非常に貴重なものとなります。

 注目すべき例として「FIDO2」認証があります。これは、パスワードに全く依存することなく、オンラインポータルで本人確認を安全に行えるシステムです。これにより、組織の情報セキュリティが向上するだけでなく、数カ月ごとに新しいパスワードを作成して覚えておく必要がなくなります。

*****

 多くの従業員が新しい柔軟性のある働き方を好意的に受け止めています。ポストコロナの世界を予測して、企業はテレワークから学んだ全ての経験を使い、最適な柔軟な働き方戦略を立てる必要があります。

 その際、一番重要なキーワードはセキュリティになるでしょう。しかし、2021年で重要になってくるのは従業員の生産性を邪魔しないセキュリティのあり方かもしれません。

宮澤敏明(みやざわ・としあき)
シトリックス・システムズ・ジャパン セールス・エンジニアリング本部 ネットワークSE部 部長
ダイヤルアップやメインフレームの時代からネットワークを担当。さまざまな基盤で活用されるアプリケーションインフラのソリューションを提供し、企業WANからオンプレデータセンターやクラウドまでエンタープライズITの進化を支援

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